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高額介護サービス費とは|申請方法と払い戻しの流れ

高額介護サービス費の申請払い戻しの流れ
SYSTEM & INSURANCE

高額介護サービス費とは?払い戻しを受ける申請方法と手順を解説

最終更新:2025年5月15日 カテゴリ:制度・保険
介護費用が一定の上限を超えた分は、「高額介護サービス費」として払い戻しを受けられます。申請すれば自動的に戻ってくる仕組みではないため、対象になる方は早めの手続きが大切です。

高額介護サービス費とは

介護保険サービスを利用した際の自己負担額が月ごとの上限を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。

介護保険では、利用者が負担する費用は原則1割(所得によっては2割・3割)とされています。しかし、重度の介護が必要な方や複数のサービスを組み合わせて利用する方の場合、月の自己負担合計が大きくなることがあります。

そこで設けられているのが「高額介護サービス費」という制度です。同じ月に利用したすべての介護保険サービスの自己負担額を合算し、所得段階ごとに定められた上限額を超えた分が後日払い戻されます。

SOURCE 高額介護サービス費は介護保険法第61条に定められた制度です。厚生労働省の案内では「同一月に利用した介護保険サービスの利用者負担の合計が、負担上限額を超えた場合、申請により超えた分が払い戻される」とされています。
出典:厚生労働省「高額介護サービス費の支給について」

対象となるサービスと対象外のもの

払い戻しの対象になるのは、介護保険が適用されるサービスの自己負担分です。訪問介護・通所介護(デイサービス)・短期入所(ショートステイ)・居宅介護支援のほか、特別養護老人ホーム(特養)や老人保健施設(老健)などの施設サービスも含まれます。

一方、以下は払い戻しの対象外となる点に注意が必要です。

  • 食費・居住費(施設での滞在費)
  • 日常生活費(理美容代・娯楽費など)
  • 介護保険適用外のサービス(保険外の自費サービスなど)
  • 福祉用具購入・住宅改修の自己負担分
POINT 食費・居住費を抑えたい場合は「負担限度額認定証」の申請が別途必要です。高額介護サービス費とは異なる制度ですのでご注意ください。

負担上限額の区分一覧

上限額は世帯の所得状況によって5段階に区分されており、低所得の方ほど上限が低く設定されています。

2021年8月の制度改正により、現役並み所得者の上限額が引き上げられました。現在(2024年度時点)の負担上限額は以下のとおりです。

区分 対象者の目安 月額上限(個人) 月額上限(世帯)
課税所得690万円以上 現役並み所得者(高) 140,100円 140,100円
課税所得380万円以上 現役並み所得者(中) 93,000円 93,000円
課税所得380万円未満 一般(住民税課税) 44,400円 44,400円
住民税非課税世帯 低所得者Ⅱ 24,600円 24,600円
住民税非課税世帯(低所得者Ⅰ) 年金収入80万円以下など 15,000円 15,000円
SOURCE 上記の上限額は2021年8月改正後のものです。区分の詳細な要件は自治体によって確認が必要です。
出典:厚生労働省「高額介護サービス費等の負担上限額の見直し(令和3年8月施行)」

世帯合算とはどういう意味か

「世帯」で判断するのは、同じ世帯の複数人が介護保険サービスを利用している場合に、自己負担額を合算できるという意味です。たとえば夫婦ともに介護サービスを利用している場合、2人分の自己負担を合計した額に対して上限が適用されます。合計が上限を超えた分は、世帯としてまとめて払い戻しを受けられます。

介護保険の自己負担割合(1割・2割・3割)については別記事でくわしく解説しています。自分の負担割合が何割になるかを確認したうえで、月の支出をシミュレーションしてみてください。

CAUTION 「世帯」の判断は介護保険上の世帯であり、必ずしも住民票上の世帯と同じではない場合があります。詳しくはお住まいの市区町村窓口でご確認ください。

申請方法と払い戻しの流れ

初回は市区町村への申請が必要ですが、一度申請すると翌月以降は自動的に払い戻される仕組みになっています。

高額介護サービス費は、自動的に払い戻されるものではありません。最初に一度、市区町村の介護保険担当窓口(または郵送)で申請を行う必要があります。申請後、2回目以降は対象となった月に自動で計算・振り込みが行われる自治体が大多数です。

ステップ別の流れ

  1. 対象月を確認する:利用したサービスの「介護保険サービス利用明細書」や「介護保険負担割合証」で、その月の自己負担額の合計を確認します
  2. 申請書を入手する:市区町村の窓口、または各自治体のウェブサイトからダウンロードします
  3. 書類を用意する:申請書のほか、振込先口座の確認書類(通帳など)・介護保険被保険者証を準備します
  4. 窓口または郵送で提出する:市区町村の介護保険担当窓口に提出します。郵送対応している自治体も多いです
  5. 審査・振り込み:申請後、数か月以内に指定口座へ払い戻し金が振り込まれます(時期は自治体によって異なります)
POINT はじめて申請する際、自治体から「高額介護サービス費支給のお知らせ」が届くことがあります。届いた場合はそのお知らせに従って手続きを進めると、スムーズに申請できます。届かない場合でも、窓口へ直接問い合わせることが可能です。

申請できる期間(時効)

高額介護サービス費の支給申請には、2年の時効があります。対象月の翌月1日から起算して2年が経過すると申請できなくなりますので、対象になっている可能性がある方は早めに手続きをされることをおすすめします。

SOURCE 介護保険法第200条に基づき、介護保険給付の請求権は2年の消滅時効と定められています。
出典:介護保険法第200条(e-Gov法令検索)

もし窓口への相談が難しい場合は、地域包括支援センターに問い合わせると、申請のサポートや適切な窓口への案内をしてもらえることがあります。

医療費控除との関係

高額介護サービス費として払い戻しを受けた金額は、確定申告の医療費控除の計算から除く必要があります。

介護費用の一部は確定申告で医療費控除の対象になります。ただし、高額介護サービス費として払い戻しを受けた金額は、すでに戻ってきているお金ですので、医療費控除の計算対象から差し引く必要があります。

具体的には、年間の対象介護費用から「高額介護サービス費として受け取った金額」を差し引いた残額が、医療費控除の計算対象となります。払い戻し金を控除額に加えてしまう二重計上に注意が必要です。

項目 内容
医療費控除の対象 介護保険サービスの自己負担のうち、訪問介護・通所介護・施設サービスなど一部のサービスが対象
控除額の計算 (対象となる自己負担の合計額)-(高額介護サービス費の払い戻し額)=控除対象額
確定申告先 税務署(e-Tax利用可)
申告期限 対象年の翌年2月16日〜3月15日(原則)

医療費控除の詳細な対象サービスや申告手順については、介護費用の医療費控除の記事でくわしく解説しています。また、控除の活用方法や節税について専門家に相談したい方は、税理士への相談も選択肢のひとつです。

介護費用の総額が家計に重くのしかかっている場合は、高額介護サービス費の活用に加え、介護費用が払えない時の選択肢の記事もあわせてご参照ください。

まとめ

高額介護サービス費は申請しなければ払い戻されません。対象の可能性がある方は、市区町村窓口への相談をおすすめします。

高額介護サービス費は、介護費用が一定額を超えた場合に自己負担を軽減してくれる、大切な公的制度です。ポイントをまとめると以下のとおりです。

  • 介護保険サービスの自己負担が月の上限を超えた分が払い戻される
  • 上限額は世帯の所得段階によって異なる(15,000円〜140,100円)
  • 初回は必ず市区町村への申請が必要。2回目以降は自動払い戻しが一般的
  • 申請できる期間は2年間。早めの手続きが重要
  • 払い戻しを受けた金額は医療費控除の計算から除く必要がある

制度のしくみや申請要件は、お住まいの自治体によって細かな違いがある場合があります。具体的な手続きについては、市区町村の介護保険担当窓口や地域包括支援センターにご相談ください。

よくある質問

高額介護サービス費はどこに申請すればいいですか?

お住まいの市区町村の介護保険担当窓口(介護保険課・高齢福祉課など)に申請します。郵送対応をしている自治体も多いため、窓口に電話で確認するとスムーズです。申請先がわからない場合は地域包括支援センターへ相談するのもよい方法です。

施設に入居中でも高額介護サービス費は受け取れますか?

はい、特別養護老人ホームや老人保健施設などの施設サービスの自己負担分も対象になります。ただし、食費・居住費・日常生活費は対象外です。施設入居中の費用について詳しくは老人ホームの費用相場の記事もご参照ください。

払い戻しはいつ振り込まれますか?

申請から振り込みまでの期間は自治体によって異なりますが、一般的には申請後1〜3か月程度とされています。詳しい時期はお住まいの市区町村へお問い合わせください。

高額介護サービス費と高額医療合算介護サービス費は違うのですか?

異なる制度です。「高額医療合算介護サービス費」は、医療保険と介護保険の両方の自己負担を1年間合算し、上限を超えた分を払い戻す制度です。医療費も大きくかかっている世帯に向けた制度で、こちらも別途申請が必要です。

自己負担が2割・3割の場合でも対象になりますか?

はい、自己負担が2割・3割の方も対象になります。ただし、負担上限額の区分(所得段階)が高くなるため、上限額も高くなります。自己負担割合の判定基準とあわせてご確認ください。

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