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介護費用は医療費控除になる?|確定申告での節税方法

介護費用は医療費控除になる確定申告での節税
COSTS & FINANCES

介護費用は医療費控除になる? 確定申告で取り戻せるお金を施設・サービス別に解説

最終更新:2025年5月17日 カテゴリ:費用・お金
介護費用の一部は医療費控除の対象になります。施設入居費・訪問看護費など対象範囲を正しく把握し、確定申告で節税できる可能性があります。

医療費控除の対象になる介護費用

介護サービスでも「医療・療養に密接な費用」であれば医療費控除の対象になります。施設の種類やサービスの内容によって対象かどうかが決まるため、まず全体像を確認しましょう。

「介護にかかったお金って、確定申告で戻ってくるの?」という疑問は、介護に直面したご家族からよくお聞きします。答えは「一部は戻ってくる可能性がある」です。

医療費控除とは、1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得税から控除を受けられる制度です。介護費用のすべてが対象になるわけではありませんが、医療・療養と密接に関わるサービスや施設の費用は対象として認められるものがあります

SOURCE 国税庁「医療費控除の対象となる介護費用について」によると、介護保険サービスの自己負担額のうち、居宅サービス・施設サービスの一部が医療費控除の対象となるとされています。対象かどうかは「居宅サービス計画(ケアプラン)に基づいているか」「医療系サービスが含まれているか」などの条件によって変わります。(出典:国税庁「No.1127 医療費控除の対象となる介護費用」)

在宅介護サービスで対象になるもの

在宅で利用できる介護保険サービスのうち、以下は医療費控除の対象とされています。

  • 訪問看護(居宅で受ける看護師・保健師等による訪問)
  • 訪問リハビリテーション
  • 居宅療養管理指導(医師・歯科医師・薬剤師等による指導)
  • 介護予防訪問看護介護予防訪問リハビリテーション
  • 通所リハビリテーション(デイケア)
  • 短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護(一体型・医療サービスあり)
  • 複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)
POINT 「医療系サービス」が含まれているかどうかが大きなポイントです。ケアプランに医療系サービスが1つでも入っていれば、同じケアプランに位置づけられた訪問介護などの生活援助費用も合わせて控除対象になる場合があります。担当のケアマネージャーに確認してみましょう。

施設サービスで対象になるもの

施設に入居・入所している場合は、施設の種別によって取り扱いが異なります。

施設の種類 医療費控除の対象範囲 備考
介護老人保健施設(老健) 施設サービス費の自己負担全額 食費・居住費も対象
介護療養型医療施設 施設サービス費の自己負担全額 食費・居住費も対象
介護医療院 施設サービス費の自己負担全額 食費・居住費も対象
特別養護老人ホーム(特養) 施設サービス費の自己負担の2分の1 食費・居住費は対象外
認知症対応型共同生活介護(グループホーム) 医療費控除の対象外 ただし別途医療費は対象
有料老人ホーム(介護付き) 医療費控除の対象外 ただし別途医療費は対象
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) 医療費控除の対象外 ただし別途医療費は対象
SOURCE 特別養護老人ホームの施設サービス費については「自己負担の2分の1相当額」が医療費控除の対象とされています。食費・居住費(いわゆるホテルコスト)は対象外です。(出典:国税庁「No.1127 医療費控除の対象となる介護費用」)

医療費として当然対象になるもの(介護と直接関係なく)

施設や在宅を問わず、以下は従来どおり医療費控除の対象です。

  • 医療機関(病院・診療所)への通院費・入院費
  • 医師・歯科医師への支払い
  • 処方された薬の購入費
  • 訪問診療・往診費
  • 通院のための交通費(公共交通機関)

施設に入居していても「かかりつけ医への受診」や「処方薬の購入」は通常の医療費として控除対象になります。これらはレシートや領収書を必ず保管しておきましょう。

施設の費用相場については、老人ホーム入居の費用相場に施設タイプ別の月額・一時金の目安をまとめています。あわせてご参照ください。

医療費控除の対象にならない介護費用

生活援助中心型サービスや、施設の食費・居住費・日用品費などは医療費控除の対象外が一般的です。間違えて申告しないよう注意が必要です。

控除を申告する際に、「これも対象になるだろう」と誤解されやすい費用があります。以下は原則として医療費控除の対象外とされているものです。

在宅サービスで対象外になるもの

  • 訪問介護(生活援助中心型):掃除・洗濯・調理などの家事援助のみ
  • 通所介護(デイサービス):リハビリ主体でない日常的なデイサービス
  • 福祉用具貸与・購入費:車椅子・介護ベッドなどのレンタル・購入
  • 住宅改修費:手すりの設置・段差解消など
  • 夜間対応型訪問介護
CAUTION 訪問介護でも、ケアプランに医療系サービスが組み込まれている場合は対象になることがあります。「生活援助だから全額対象外」と決めつけず、ケアプランの内容を確認することが大切です。判断が難しい場合は税理士や税務署にご相談ください。

施設入居費で対象外になるもの(主なもの)

費用の種類 対象・対象外 備考
施設サービス費(老健・介護医療院) ✅ 対象 食費・居住費を含む
施設サービス費(特養) ✅ 対象(1/2) 食費・居住費は除く
食費(特養・有料ホームなど) ❌ 対象外 生活費として扱われる
居住費・部屋代(有料ホーム等) ❌ 対象外 生活費として扱われる
日用品・衣類・散髪代など ❌ 対象外 生活費扱い
入居一時金・敷金・保証金 ❌ 対象外 礼金・保証金は医療費ではない
任意加入の介護保険・民間保険の保険料 ❌ 対象外 保険料は医療費控除の対象外

「入居一時金が高かったから控除できると思っていた」というご意見をよく伺いますが、入居一時金は住居の確保に関する費用であり、医療費控除の対象にはなりません。費用負担にお悩みの方は、介護費用が払えない時の選択肢もご参照ください。

POINT 介護保険の自己負担額が増えた場合は、医療費控除のほかに「高額介護サービス費」の払い戻し制度も活用できる可能性があります。両方の制度を理解しておくことで、実質的な自己負担を抑えられる場合があります。

確定申告の手順 — 介護費用の申告方法

介護費用の医療費控除は確定申告(または年末調整後の還付申告)で行います。領収書の保管・集計・申告書への記入という流れで、難しい手続きではありません。

会社員の方でも、医療費控除は年末調整では処理できないため、確定申告が必要です。ただし、確定申告は税務署の窓口のほか、e-Taxによるオンライン申告でも対応できます。

STEP 1:領収書・明細書を集める

まず1年間(1月〜12月)に支払った医療費・介護費用の領収書をすべて集めましょう。

  • 介護保険サービスの領収書(訪問看護・デイケアなど)
  • 施設からの請求明細書
  • 医療機関の領収書
  • 処方薬の領収書(ドラッグストア含む)
  • 通院交通費のメモ(公共交通機関の運賃)
SOURCE 国税庁によると、医療費控除の申告には「医療費控除の明細書」を作成して確定申告書に添付する方法が標準的です。2017年分以降は、領収書の原本は提出不要ですが、申告後5年間は自宅で保管する義務があります。(出典:国税庁「医療費控除を受ける場合の手続きについて」)

STEP 2:対象になる費用かを確認・集計する

集めた領収書を「対象になるもの」「対象外のもの」に仕分けします。このセクションの表を参考に分類しましょう。集計した合計金額が10万円(または所得の5%)を超える部分が控除の対象になります。

CAUTION 生命保険・医療保険・介護保険から補填された金額は、医療費から差し引かなければなりません。「給付を受けた分だけ控除できる医療費が減る」と覚えておきましょう。(出典:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」)

STEP 3:「医療費控除の明細書」を作成する

国税庁の確定申告作成コーナー(e-Tax)、または税務署でもらえる書式で「医療費控除の明細書」を作成します。領収書1枚ずつ記入するか、医療費通知(健康保険組合から届く書類)を活用することができます。

STEP 4:確定申告書に転記して提出する

医療費控除の明細書の合計額を確定申告書(第一表・第二表)の所定の欄に転記します。e-Taxを使えばガイドに沿って入力するだけで自動計算されるため、比較的スムーズに申告できます。

申告期間は毎年2月16日〜3月15日が原則ですが、還付申告(税金が戻ってくる申告)の場合は、1月1日から5年間さかのぼって申告できます。過去の介護費用について申告できていなかった方も、期限内であれば手続きが可能です。

POINT 確定申告が初めてで不安な方は、税務署の「確定申告相談会」(毎年1〜3月に各地で開催)や、市区町村の無料税務相談を活用するのも一つの方法です。費用の仕分けが複雑な場合は、税理士に相談することも検討してみてください。

高額介護サービス費・高額療養費との関係

高額介護サービス費や保険からの給付金は、医療費から差し引く必要があります。ダブルで受け取ることはできませんが、両制度を正しく組み合わせると自己負担を効果的に抑えられます。

介護費用の節税を考える際に、医療費控除と合わせて知っておきたい制度が「高額介護サービス費」です。

高額介護サービス費とは

高額介護サービス費は、1ヶ月の介護サービス自己負担額が一定の上限額を超えた場合に、超えた分が後から払い戻される制度です。所得に応じた上限額が設定されており、申請は市区町村の窓口で行います。

SOURCE 厚生労働省の資料によると、高額介護サービス費の上限額(月額)は所得区分によって異なります。例として「一般」区分の場合は月額44,400円、「住民税非課税世帯」の場合は月額24,600円(個人の場合15,000円)などが設定されています。(出典:厚生労働省「高額介護(介護予防)サービス費の支給」)

医療費控除と高額介護サービス費の関係

高額介護サービス費として払い戻しを受けた金額は、医療費控除の計算の際に支払った医療費から差し引く必要があります。払い戻しをもらっているにもかかわらず全額を控除申告するのは誤りになりますので注意してください。

制度 仕組み 申請先 医療費控除との関係
医療費控除 支払った医療費が一定額を超えた分を所得から控除→所得税が減る 税務署(確定申告)
高額介護サービス費 介護サービス自己負担が上限額を超えた分を払い戻し 市区町村 受け取った金額は医療費から差し引く
医療保険からの入院給付金等 入院等に応じて保険会社から支払われる 保険会社 受け取った金額は医療費から差し引く
高額医療・高額介護合算療養費 医療と介護の合算自己負担が上限を超えた分を払い戻し 市区町村・健保組合 受け取った金額は医療費から差し引く

計算の流れをまとめると、「実際に支払った介護・医療費の合計」から「各種給付・払い戻しで受け取った金額」を引いた残額が医療費控除の計算のベースになります。

費用全体の把握にあたっては、老人ホーム入居の費用相場も参考にしてみてください。月ごとの費用の傾向をつかんでおくと、申告の際に集計しやすくなります。

POINT 高額介護サービス費の払い戻し通知(支給決定通知書)は毎年保管しておきましょう。確定申告の際に「差し引く金額」の根拠として使います。紛失した場合は市区町村窓口で再発行の相談ができます。

まとめ

介護費用の医療費控除は「医療・療養に密接な費用かどうか」が判断のカギです。申告漏れのないよう、1年間の領収書を整理してから確定申告に臨みましょう。

この記事では、介護費用と医療費控除の関係を以下の観点から整理しました。

  • 対象になる費用:訪問看護・居宅療養管理指導・老健等の施設サービス費など、医療・療養に密接な費用
  • 対象外の費用:食費・居住費・日用品費・入居一時金・生活援助のみの訪問介護など
  • 申告の流れ:領収書を集める→対象か仕分け→医療費控除の明細書を作成→確定申告
  • 他制度との関係:高額介護サービス費や保険給付の受取額は差し引いて計算する

「自分の場合はどこまで控除できるのか」の判断は、サービスの組み合わせやケアプランの内容によって変わります。迷われる場合は税務署の無料相談や、税理士への相談もご検討ください。

また、費用の見通しを立てたい方は老人ホーム入居の費用相場や、介護費用が払えない時の選択肢もあわせてご覧いただくと、全体像が把握しやすくなります。

具体的なご判断は、お住まいの税務署や税理士など専門家にご相談ください。

よくある質問

有料老人ホームの月額費用は医療費控除になりますか?

有料老人ホーム(介護付き・住宅型)の施設利用料(食費・居住費など)は、原則として医療費控除の対象外とされています。ただし、施設に入居中に医療機関を受診した費用や、医師の指示による訪問看護などの費用は別途対象になる場合があります。不明な点は税務署や税理士にご確認ください。

特養(特別養護老人ホーム)の費用はどのくらい控除できますか?

特別養護老人ホームの場合、施設サービス費の自己負担額の「2分の1相当額」が医療費控除の対象とされています(食費・居住費は対象外)。高額介護サービス費として払い戻しを受けた金額がある場合は、その分を差し引いた残額で計算します。詳しくは国税庁「No.1127 医療費控除の対象となる介護費用」をご参照ください。

介護保険の訪問介護費は全額対象になりますか?

訪問介護は「生活援助中心型(掃除・洗濯・調理など)」のみの場合は対象外とされています。ただし、ケアプランに医療系サービス(訪問看護・居宅療養管理指導など)が組み込まれている場合は、同じケアプランの訪問介護費用も合わせて対象になる可能性があります。担当のケアマネージャーや税務署に確認するとよいでしょう。

確定申告の期限を過ぎてしまいましたが、過去分の申告はできますか?

税金の還付申告(医療費控除など)は、確定申告期間(毎年2月16日〜3月15日)を過ぎても、5年間はさかのぼって申告できます(還付申告)。過去の介護費用について申告できていなかった方は、期限内であれば手続き可能ですので、税務署や税理士に相談してみましょう。

親の介護費用を子が代わりに払った場合、子が控除を受けられますか?

生計を一にしている家族(同居、または仕送りなどで生活費を共にしている)の医療費・介護費用であれば、実際に支払った方(子)が医療費控除を受けられます。ただし「生計を一にしている」かどうかが要件になりますので、別居の場合は実態を税務署に確認されることをおすすめします。(出典:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」)

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