老人ホーム入居の費用相場【2026年版】月額・一時金を施設タイプ別に徹底解説
費用の全体像——月額と一時金の仕組み
「老人ホームは高い」というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、実際には施設の種類によって費用の幅はかなり異なります。まず費用の仕組みを整理しておくと、親の施設選びがぐっとラクになります。
月額費用とは
入居後に毎月継続して支払う費用の総称です。大きく分けると次の4つが合算されます。
- 介護サービス費(自己負担分):介護保険が適用され、所得に応じて1〜3割を負担
- 居住費(室料):部屋の広さや設備、多床室か個室かによって異なる
- 食費:1日3食の提供費用。施設によって内容が異なる
- 管理費・その他サービス費:施設の運営費、レクリエーション費など
入居一時金(前払い金)とは
主に有料老人ホームで入居時にまとめて支払う費用です。入居後に毎月かかる家賃の一部を先払いするイメージで、法律上「前払い家賃の性質を持つ」とされています。支払った後、一定の「初期償却」があり、残額は在籍期間に応じて償却されます。契約解除した場合は、未償却分が返還される仕組みが一般的です。
出典:老人福祉法第29条第7項、厚生労働省「有料老人ホームの設置運営標準指導指針」
費用の考え方が整理できたところで、次のセクションでは施設タイプ別に費用の目安を比較していきます。
施設タイプ別の費用相場(比較表)
老人ホームと一口に言っても、法律上の区分や運営主体によって費用は大きく変わります。以下の比較表で、主要な施設タイプの費用目安をご確認ください。
| 施設タイプ | 月額費用の目安 | 入居一時金の目安 | 主な入居条件 | 待機の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 5〜15万円程度 | 原則なし | 要介護3以上 | 数か月〜数年 |
| 介護老人保健施設(老健) | 7〜15万円程度 | 原則なし | 要介護1以上 | 比較的短い |
| 介護医療院 | 8〜18万円程度 | 原則なし | 要介護1以上(長期療養) | 施設による |
| 介護付き有料老人ホーム | 15〜35万円程度 | 0〜数百万円 | 要支援〜要介護(施設による) | 比較的短い |
| 住宅型有料老人ホーム | 10〜30万円程度 | 0〜数十万円 | 自立〜要介護(施設による) | 比較的短い |
| サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 10〜25万円程度 | 原則なし(敷金のみの場合が多い) | 主に自立〜軽度(施設による) | 比較的短い |
| グループホーム | 10〜20万円程度 | 0〜数十万円 | 要支援2以上・認知症の診断 | 施設による |
| 軽費老人ホーム(ケアハウス) | 6〜13万円程度 | 原則なし | 原則60歳以上・比較的自立 | 施設による |
※上記はあくまで一般的な目安であり、施設の立地・設備・部屋のタイプ(多床室か個室か)、提供するサービスの内容によって大きく異なります。実際の費用は各施設に直接お問い合わせいただくか、資料請求でご確認ください。
出典:厚生労働省「令和4年度介護給付費等実態統計」
多床室と個室の費用差
同じ施設でも、4人部屋などの「多床室(従来型)」と「個室(ユニット型)」では月額費用が異なります。特養を例にとると、居住費の自己負担額の目安として、多床室は月額1万円以下から、ユニット型個室は月額6万円程度まで、所得区分によって変わることが一般的です(負担限度額認定を受けている場合はさらに軽減されます)。
プライバシーを重視するか、費用を優先するかは、ご本人の状態や家族の希望によって変わります。施設見学の際に実際の部屋を確認することをおすすめします。
地域によって費用はどれくらい変わる?
老人ホームの費用は、施設タイプだけでなく立地する地域によっても大きく変わります。主な要因は「地価・賃料の差」「人件費の差」「施設の需給バランス」の3つです。
都市部と地方の費用差の目安
| 施設タイプ | 東京・大阪などの都市部 | 地方(県庁所在地以外) |
|---|---|---|
| 特養(多床室) | 8〜15万円程度 | 5〜10万円程度 |
| 介護付き有料老人ホーム | 20〜35万円以上 | 12〜22万円程度 |
| サ高住 | 15〜25万円程度 | 10〜18万円程度 |
※上記はあくまで参考値であり、施設の設備やサービス内容によって変動します。
出典:厚生労働省「介護保険の地域区分について」
費用の内訳——何にいくら払うのか
施設から届く請求書の内容をあらかじめ理解しておくと、入居後に「思っていた金額と違う」となりにくくなります。ここでは、費用の内訳を項目別に詳しくご説明します。
① 介護サービス費(自己負担分)
介護保険が適用される費用で、所得に応じて1割・2割・3割の自己負担があります。要介護度が高いほど介護サービス費の総額は大きくなりますが、それだけ保険でカバーされる金額も大きくなります。
自己負担の割合は「介護保険負担割合証」に記載されており、毎年更新されます。現在の割合がわからない場合は、市区町村の介護保険担当窓口でご確認ください。自己負担割合の判定基準についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
② 居住費(部屋代)
部屋の種類(多床室・個室・ユニット型個室)と施設の方針によって大きく異なります。特養・老健・介護医療院については、所得や資産に応じて負担限度額認定制度による軽減が受けられる場合があります(詳細はs7でご説明します)。
③ 食費
1日3食の提供費用です。特養・老健・介護医療院では、居住費と同様に所得に応じた軽減制度があります。有料老人ホームやサ高住は施設が独自に設定しており、月額2〜7万円程度が一般的な目安です。
④ 管理費・その他費用
主に有料老人ホームやサ高住で設定されている費用です。施設スタッフの人件費、共用スペースの維持費、レクリエーション費などが含まれます。月額1〜5万円程度が一般的な目安ですが、施設によって内容は様々です。
⑤ 個人的な費用(実費)
月額費用とは別に、個人の消耗品(おむつ・洗剤等)、医療費、美容院代、外出時の交通費などが実費でかかります。月額1〜3万円程度を見込んでおくと安心です。
| 費用項目 | 特養(要介護3・1割負担の目安) | 介護付き有料老人ホーム(目安) |
|---|---|---|
| 介護サービス費(自己負担) | 1.5〜2.5万円程度 | 2〜4万円程度(定額制) |
| 居住費 | 1〜6万円程度(部屋タイプ・区分による) | 5〜15万円程度 |
| 食費 | 1〜4万円程度(区分による) | 4〜6万円程度 |
| 管理費等 | 原則なし | 1〜5万円程度 |
| 個人費用(実費) | 1〜3万円程度 | 1〜3万円程度 |
| 合計(目安) | 5〜15万円程度 | 13〜33万円程度 |
※上記はあくまで目安であり、要介護度・所得区分・施設の設定によって大幅に異なります。
予算別の施設選び——月額ごとのモデルケース
「予算は決まっているが、どの施設を選べばよいか分からない」というご相談は多く聞かれます。ここでは月額予算を3段階に分けて、それぞれで現実的な選択肢をご紹介します。
公的施設が主な選択肢です。特養は要介護3以上が条件で待機が生じる可能性があります。老健はリハビリを経て在宅復帰を目指す施設のため、長期入居には向かない場合があります。負担限度額認定を受けると、さらに費用を抑えられる可能性があります。
民間施設の中では比較的手頃な価格帯です。サ高住は施設によってサービスの充実度が大きく異なるため、見学・資料収集が特に重要です。認知症がある場合はグループホームも検討できます。
24時間介護体制が整った施設が多く、重度の介護が必要な方でも対応できる施設を選びやすくなります。入居一時金がかかる場合もありますが、長期入居を見越した場合にはトータルでの費用を試算することをおすすめします。
費用を抑える4つの方法
「費用を少しでも抑えたい」というご要望は非常に多く聞かれます。老人ホームを安く抑える方法として、代表的な4つのアプローチをご紹介します。
① 公的施設を優先的に検討する
特養(特別養護老人ホーム)は公的施設のため、民間施設と比べて費用が抑えやすい傾向があります。ただし、入居には原則として要介護3以上の認定が必要で、人気の高い地域では入居待ちになる場合もあります。要介護度が3以上で、やや時間的余裕がある場合は、早めに申込みをしておくことも一つの方法です。
② 負担限度額認定制度を申請する
特養・老健・介護医療院に入居する場合、所得・資産が一定以下のご家族は食費・居住費の自己負担額が軽減される「負担限度額認定証」の交付を受けられる場合があります。負担限度額認定証の申請方法については別記事で詳しく説明しています。
③ 高額介護サービス費の払い戻しを受ける
1か月に支払った介護保険の自己負担額が一定の上限を超えた場合、超過分が後から払い戻される「高額介護サービス費」という制度があります。自動的に振り込まれるわけではなく、申請が必要な場合もあるため、ご利用の市区町村窓口に確認しておくと安心です。
④ 地方・郊外の施設を候補に加える
都市部では月額20〜30万円程度かかる施設でも、地方・郊外では月額12〜18万円程度で同水準のサービスが受けられるケースがあります。ご家族が頻繁に訪問できる距離かどうかを考慮した上で、選択肢の一つとして検討してみてください。
出典:厚生労働省「高額介護サービス費の支給について」
使える公的支援制度
「介護費用が払えなくなったらどうしよう」という不安をお持ちの方もいらっしゃると思います。公的な支援制度を正しく知ることで、実際に利用できる選択肢が広がります。介護費用が払えない場合の選択肢についても、ぜひあわせてご確認ください。
負担限度額認定制度
特養・老健・介護医療院の利用者で、所得や資産が一定基準以下の場合に、食費と居住費の自己負担上限額が引き下げられます。申請は市区町村の介護保険担当窓口で行います。認定証は1年ごとに更新が必要です。
高額介護サービス費
1か月の介護保険自己負担合計が上限額を超えた場合、超過分が払い戻されます。複数のサービスを利用している場合、世帯合算での申請も可能です。申請は最初の1回のみで、以降は自動的に振り込まれる自治体が多いですが、確認しておくと安心です。
高額医療・高額介護合算療養費制度
医療費と介護費を合算し、年間の上限額を超えた場合に払い戻しが受けられる制度です。医療費と介護費の両方が高額になっているご家族に特に有効です。
生活保護受給中の施設入居
生活保護を受給している場合でも、特養への入居は可能です。介護扶助として費用がカバーされます。詳細はお住まいの自治体の福祉事務所にご相談ください。
出典:厚生労働省「高額医療・高額介護合算療養費制度の概要」
まとめ
この記事では、老人ホームの費用について以下の点をご説明しました。
- 月額費用は「介護サービス費・居住費・食費・管理費」の4要素で構成される
- 施設タイプにより月額5万円台〜35万円超と幅が大きい
- 都市部より地方・郊外の方が同条件で費用が抑えられる傾向がある
- 予算に合わせて公的施設(特養・老健)から民間施設まで段階的に選択肢がある
- 負担限度額認定・高額介護サービス費など申請で使える支援制度がある
施設の費用を比較する際は、「月額の数字」だけでなく「何が含まれているか」「実費で何がかかるか」まで確認することが大切です。有料老人ホームの種類や特養とサ高住の違いも参考にしながら、ご家族の状況に合った施設を探してみてください。
費用面での不安が大きい場合は、施設の相談員や地域包括支援センターに状況を説明した上で、使える制度を一緒に確認してもらうことをおすすめします。具体的な制度の適用やご判断については、専門家にご相談ください。
よくある質問
老人ホームの月額費用の平均はどれくらいですか?
施設タイプによって大きく異なります。特養(特別養護老人ホーム)では月額5〜15万円程度、介護付き有料老人ホームでは月額15〜35万円程度が一般的な目安とされています。同じタイプでも地域・部屋の種類・要介護度によって変わりますので、資料請求や見学で個別に確認することをおすすめします。
入居一時金が払えない場合はどうすればよいですか?
入居一時金が不要な施設も多くあります。特養・老健などの公的施設は基本的に一時金不要です。民間施設でも「入居一時金0円プラン」を設けているところがあり、その場合は月額費用がやや高めに設定されていることが一般的です。予算に合わせた施設探しは、無料の相談窓口を活用するのも一つの方法です。
年金だけで入れる老人ホームはありますか?
受け取っている年金額によって異なります。国民年金のみ(月額約6〜7万円程度)の場合でも、特養への入居に際して負担限度額認定を受けることで費用を抑えられる可能性があります。厚生年金が月額15万円程度ある場合は、選択できる施設の幅が広がります。年金のみで入れる老人ホームについて詳しくはこちらをご覧ください。
施設の費用が途中で変わることはありますか?
あります。主な変動要因は「要介護度の変化」「介護保険の自己負担割合の変更(毎年8月更新)」「施設側の料金改定」です。介護報酬の改定(原則3年ごと)に伴い、介護サービス費の単価が変わることもあります。入居前に「費用が変わる場合の通知方法」を施設に確認しておくと安心です。
「月額○万円」という施設の広告を見たが、実際の請求額はもっと高かった。なぜですか?
広告に記載されている「月額」には、介護サービス費・管理費・居住費・食費のすべてが含まれていない場合があります。また、オプションサービスや実費(おむつ代等)が別途かかることも多いです。施設の資料請求の際は「総額でいくらになるか」を具体的に確認し、見学時にも実際の請求書の例を見せてもらうことをおすすめします。

