介護保険の自己負担割合|1割・2割・3割の判定基準をわかりやすく解説
介護保険の自己負担割合の仕組み
介護保険制度では、利用者がサービス費用の一部を自己負担し、残りを介護保険から給付するしくみになっています。その自己負担の割合(1割・2割・3割)は、利用者本人の所得や世帯の状況によって決まります。
たとえば要介護3の方が介護付き有料老人ホームを利用する場合、介護サービス費の自己負担が1割か3割かで、月々の出費に大きな差が生じます。ご家族の介護費用の見通しを立てるうえで、まずこの割合を確認することが重要です。
出典:厚生労働省「介護保険制度の概要(令和6年度版)」
負担割合が適用される範囲
自己負担割合が適用されるのは、介護保険が給付する「介護サービス費」の部分です。施設に入居する場合の食費・居住費(部屋代)・日常生活費などは別途自己負担となり、この割合の対象外となります。老人ホーム入居の費用相場では、施設タイプ別の月額費用の内訳をまとめていますので、あわせてご参照ください。
また、要介護1〜5の違いで解説しているとおり、要介護度によって月ごとの支給限度額(区分支給限度基準額)が異なります。自己負担割合はその限度額の範囲内で発生します。
1割・2割・3割の判定基準
自己負担割合の判定は、毎年8月1日に更新されます(前年の所得をもとに判定)。判定の基本的な流れは以下のとおりです。
| 負担割合 | 対象となる方の目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 1割 | 合計所得金額が160万円未満の方、または2割・3割に該当しない方 | 65歳以上のほとんどの方が該当 |
| 2割 | 合計所得金額が160万円以上で、年金収入+その他所得が単身280万円以上(夫婦346万円以上)の方 | 現役世代と同程度の収入がある方が目安 |
| 3割 | 合計所得金額が220万円以上で、年金収入+その他所得が単身340万円以上(夫婦463万円以上)の方 | 現役並み所得者が対象 |
出典:厚生労働省「介護保険制度における利用者負担について」
判定フローのイメージ
お住まいの市区町村が毎年7月ごろに判定を行い、8月から翌7月まで適用される「介護保険負担割合証」を送付します。判定は以下の順序で行われます。
- 本人の合計所得金額が160万円未満 → 1割(確定)
- 160万円以上 → 年金収入+その他所得を加算し、単身/夫婦の閾値と比較
- 単身340万円以上(夫婦463万円以上)→ 3割
- 単身280万円以上(夫婦346万円以上)→ 2割
- 上記に満たない → 1割
第2号被保険者(40〜64歳)の場合
40歳から64歳の方(第2号被保険者)は、特定疾病(16種類)に該当する場合に限り介護保険サービスを利用できます。この場合の自己負担割合は、所得にかかわらず一律1割とされています。
負担割合証とは
介護保険負担割合証(以下、負担割合証)は、要介護・要支援の認定を受けた方に対して市区町村から交付されます。サービス事業者に提示することで、適用される自己負担割合が確定します。
負担割合証の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 交付時期 | 毎年7月ごろ(更新のたびに郵送) |
| 有効期間 | 毎年8月1日〜翌年7月31日 |
| 交付対象 | 要介護・要支援認定を受けた方 |
| 提示先 | ケアマネージャー・各サービス事業者 |
| 再交付 | 紛失・破損した場合は市区町村窓口で申請可能 |
出典:e-Gov法令検索「介護保険法」第12条の2
負担割合が変わるタイミング
毎年8月に更新されますが、前年の所得が大きく変わった場合(退職・年金受給開始など)は、翌年の負担割合に影響します。また、同一世帯の家族が転出・転入した場合も判定に影響することがあります。施設の費用計画を立てる際は、今後の所得変化も視野に入れておくとよいでしょう。
高額になった場合の救済策
介護保険サービスを多く利用すると、月々の自己負担が家計を圧迫することがあります。そのような場合に備えて、公的な救済制度が設けられています。主なものを以下にご紹介します。
① 高額介護サービス費
同一月内の介護保険サービスの自己負担合計額が、所得に応じた上限額を超えた場合、超えた分が後から払い戻される制度です。詳しくは高額介護サービス費の申請方法をご覧ください。
| 区分 | 月額上限(世帯) |
|---|---|
| 現役並み所得者(課税所得690万円以上) | 140,100円 |
| 現役並み所得者(課税所得380万円以上) | 93,000円 |
| 現役並み所得者(課税所得145万円以上) | 44,400円 |
| 一般(市区町村民税課税世帯) | 44,400円 |
| 住民税非課税世帯 | 24,600円 |
| 住民税非課税世帯(年金収入80万円以下等) | 15,000円(個人) |
出典:厚生労働省「高額介護(介護予防)サービス費の算定基準について」
② 負担限度額認定(食費・居住費の軽減)
施設サービスや短期入所サービスを利用する場合、住民税非課税世帯等を対象に食費・居住費の自己負担を軽減できる「負担限度額認定制度」があります。申請方法については負担限度額認定証の申請方法で詳しく解説しています。
③ 高額医療合算介護サービス費
介護保険と医療保険の自己負担を合算し、一定の上限を超えた分を払い戻す制度です。介護と医療の両方でかかっているご家族に特に有効な救済策です。
費用全体の見通しを立てたい方は、老人ホーム入居の費用相場もあわせてご覧ください。施設タイプ別の月額費用の目安をまとめています。
まとめ
介護保険の自己負担割合は、本人の合計所得金額と年金収入等をもとに、市区町村が毎年判定します。ポイントを整理すると以下のとおりです。
- 負担割合は1割・2割・3割の3段階で、毎年8月1日に更新される
- 判定基準となるのは本人の合計所得金額と年金収入等の合算額
- 負担割合証は毎年7月ごろ郵送されるので必ず保管しておく
- 自己負担が上限を超えた場合は高額介護サービス費として払い戻しを受けられる
- 食費・居住費の軽減には負担限度額認定制度の活用も検討する
自己負担割合の詳細な計算や適用条件については、市区町村によって細かな取り扱いが異なる場合があります。具体的なご判断は、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口またはケアマネージャーにご相談ください。
よくある質問
自己負担割合はいつ決まり、いつ変わりますか?
毎年前年の所得をもとに市区町村が判定し、8月1日から翌年7月31日まで適用されます。判定結果は毎年7月ごろに「介護保険負担割合証」として郵送されます。
親が無年金・低年金の場合、自己負担割合はどうなりますか?
合計所得金額が160万円未満であれば、原則として1割負担となります。また、住民税非課税世帯の場合は負担限度額認定制度(食費・居住費の軽減)も利用できる可能性があります。詳細はお住まいの市区町村にご確認ください。
2割・3割の人でも高額介護サービス費の対象になりますか?
はい、2割・3割の方も高額介護サービス費の対象となります。ただし、月額の上限額は所得区分によって異なります。上限を超えた分は申請により払い戻しを受けることができます。
家族が同居している場合、世帯の所得も判定に影響しますか?
自己負担割合の判定は、原則として本人(65歳以上の被保険者)の所得をもとに行います。ただし、同一世帯に65歳以上の方が複数いる場合は、世帯全体の年金収入等も加味されることがあります。詳細は市区町村の窓口にご相談ください。
負担割合証を紛失した場合はどうすればよいですか?
お住まいの市区町村の介護保険担当窓口に申請することで再交付を受けることができます。手続きには本人確認書類が必要です。ケアマネージャーに相談すると手続き方法を案内してもらえることもあります。

