介護付き有料老人ホームとは|住宅型・健康型との違いを公的データで解説
3つの類型を分けているのは「介護保険の指定」だけ
有料老人ホームを探し始めると、ほぼ最初に「介護付き」「住宅型」「健康型」という3つの言葉に出会います。ここでつまずく方が多いのは、この3つが建物の種類でも、サービスの豪華さの段階でもないからです。
まず法律の側を確認します。老人福祉法第29条第1項は、有料老人ホームを「老人を入居させ、入浴、排せつ若しくは食事の介護、食事の提供又はその他の日常生活上必要な便宜であつて厚生労働省令で定めるもの(以下「介護等」という。)の供与……をする事業を行う施設であつて、老人福祉施設、認知症対応型老人共同生活援助事業を行う住居その他厚生労働省令で定める施設でないもの」と定義し、設置しようとする者に都道府県知事への事前の届出を義務づけています。
この条文には、類型を分ける規定がありません。つまり介護付きも住宅型も健康型も、法律の上では同じ「有料老人ホーム」1種類です。特別養護老人ホームのような「老人福祉施設」ではないこと、グループホーム(認知症対応型老人共同生活援助事業を行う住居)ではないこと——という「除外リスト」で輪郭が決まっているのがこの制度の特徴です。
出典:e-Gov法令検索「老人福祉法」(昭和三十八年法律第百三十三号)第29条
では何が3類型を分けているのか
実務上の3類型は、厚生労働省の「有料老人ホームの設置運営標準指導指針」に基づく区分で、各施設が交付する重要事項説明書に記載されます。そして、そのうち「介護付き」を表示できるのは、介護保険法にいう「特定施設入居者生活介護」(または「地域密着型特定施設入居者生活介護」)の指定を都道府県・市町村から受けた施設に限られるとされています。
整理すると次のようになります。
- 介護付き:特定施設入居者生活介護の指定あり。施設の職員が介護計画に基づいて介護を行い、その費用は要介護度別の定額で介護保険から支払われる
- 住宅型:指定なし。介護が必要になったら、入居者が外部の訪問介護・通所介護などと個別に契約して利用する
- 健康型:指定なし。かつ、自立して生活できる方を入居対象とし、介護が必要になった段階で住み替えが前提になることが多い
出典:e-Gov法令検索「介護保険法」(平成九年法律第百二十三号)第8条第11項/厚生労働省「有料老人ホームの設置運営標準指導指針」
なお、有料老人ホームとよく比較される特別養護老人ホーム(特養)やサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、そもそも根拠になる法律が別です。制度の枠から違うため、同じ物差しで並べても比較になりません。この点は特養とサ高住の違いを整理した記事で詳しく解説しています。
【当サイト集計】介護付きは全国4,735事業所・都道府県で170倍の差
ここまでは制度の話です。では、その「介護付き」は実際にどれだけあるのか。多くの解説記事が「全国に多数」で済ませているところを、当サイトでは厚生労働省の介護サービス情報公表システムのオープンデータを取得して、事業所を1件ずつ数えました。
内訳:介護付きの94%は「一般型」
| サービス種別(厚労省の区分) | 事業所数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム) | 4,470 | 94.4% |
| 地域密着型特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム) | 258 | 5.4% |
| 外部サービス利用型特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム) | 7 | 0.1% |
| 合計(=介護付き有料老人ホーム) | 4,735 | 100% |
軽費老人ホーム(ケアハウス)を母体とする特定施設、およびサービス付き高齢者向け住宅を母体とする特定施設は、厚労省の区分上は別のサービス種別コードになるため、この4,735事業所には含めていません。
出典:厚生労働省「介護サービス情報公表システム」オープンデータ(CC BY 4.0)
ここで目を引くのが外部サービス利用型の7事業所です。外部サービス利用型は、施設が介護計画の作成や安否確認を担当し、実際の入浴・排せつ介助などは委託先の事業者が行う形態で、制度としては用意されています。しかし全国で7事業所——北海道2(東川町・白老町)、兵庫県1(芦屋市)、島根県1(松江市)、愛媛県1(松山市)、福岡県2(久留米市・苅田町)しかありません。「介護付きには外部サービス利用型もある」という説明は制度上は正しいものの、実際に出会う確率は0.1%だということです。施設選びの検討軸に入れる必要は、ほぼないと考えてよいでしょう。
規模:定員の中央値は50人。特養より小さく、グループホームより大きい
定員が記入されている2,351事業所で集計すると、1事業所あたりの定員は中央値50人(25パーセンタイル33人・75パーセンタイル64人・平均56.5人)でした。「有料老人ホーム=小規模でアットホーム」「有料老人ホーム=大規模で画一的」のどちらのイメージも、実態としては当たりません。
| 施設タイプ | 1施設あたりの定員・戸数(中央値) | 母数 |
|---|---|---|
| 介護老人保健施設(老健) | 100人 | 1,668事業所 |
| 特別養護老人ホーム(広域型) | 70人 | 3,909事業所 |
| 介護付き有料老人ホーム | 50人 | 2,351事業所 |
| サービス付き高齢者向け住宅 | 30戸 | 8,312住宅 |
| グループホーム(認知症対応型共同生活介護) | 18人 | 8,285事業所 |
定員の分布は、29人以下が370事業所(15.7%)、30〜49人が743事業所(31.6%)、50〜99人が1,056事業所(44.9%)、100人以上が182事業所(7.7%)です。半数近くが50〜99人の帯に集まっています。
このうち定員29人以下の「地域密着型」258事業所は、制度上の位置づけが少し違います。介護保険法第8条第21項は、地域密着型特定施設入居者生活介護を「入居者が要介護者、その配偶者その他厚生労働省令で定める者に限られるもの(介護専用型特定施設)のうち、その入居定員が二十九人以下であるもの」と定義しています。当サイトの集計でも、地域密着型の定員は最大29人で、上限が実際に守られていることが確認できました。地域密着型は原則としてその市町村の住民が対象になるため、親が住んでいる市町村と、呼び寄せたい先の市町村のどちらで探すかで候補が変わります。
分布:47都道府県すべてにあるが、上位3都県で38.5%
介護付き有料老人ホームは47都道府県すべてに存在します。ただし数の偏りは大きく、上位3都県(東京都・神奈川県・埼玉県)だけで1,821事業所=全体の38.5%、上位10都道府県で69.9%を占めます。
| 都道府県 | 介護付き有料老人ホーム | 参考:サ高住の登録数 |
|---|---|---|
| 東京都(最多) | 850 | 422 |
| 神奈川県 | 552 | 371 |
| 埼玉県 | 419 | 477 |
| 大阪府 | 332 | 856 |
| 北海道 | 186 | 527 |
| 宮城県(全国の中位) | 45 | 133 |
| 富山県 | 6 | 92 |
| 徳島県(最少) | 5 | 79 |
最多の東京都850事業所と最少の徳島県5事業所では、170倍の開きがあります。これは「都市部のほうがやや多い」という程度の話ではありません。徳島県で介護付き有料老人ホームを条件から探すことは、県内に5つしかない選択肢の中から探すということです。
さらに注目したいのが右の列です。東京都・神奈川県では介護付きのほうがサ高住より多い一方、大阪府(332対856)・北海道(186対527)・富山県(6対92)では逆転しています。同じ「民間の高齢者向け住まい」でも、地域によって主流になっている形態が違うのです。地方で「介護付きが見つからない」と感じるのは探し方の問題ではなく、供給構造そのものが違うことが多いといえます。
※両者は根拠となる制度も届出先も異なるデータです。実体が重なる施設もあるため、足し合わせて「地域の施設総数」とすることはできません。あくまで「どちらの形態が多い地域か」を見るための並置です。
※定員は厚労省CSVの記載値です。同CSVでは定員が0または空欄の事業所が2,384件あり(4,735件中)、これらは定員の集計から除いています。
出典:厚生労働省「介護サービス情報公表システム」オープンデータ(CC BY 4.0)/サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム(国土交通省)登録データ
都道府県ごとの施設数と、サ高住の家賃・食費の実勢額まで踏み込んだ集計は、地域別ページにまとめています。埼玉県(介護付き419・サ高住477)、茨城県(介護付き58・サ高住212)、沖縄県(介護付き37・サ高住60)が対象です。検討中の地域が該当する方は、そちらもあわせてご確認ください。
介護付き有料老人ホームとは
誰が介護するのか
介護付きでは、入浴・排せつ・食事の介助や機能訓練をその施設の職員が行います。介護保険法第8条第11項が定めるとおり、サービスの内容・担当者などを定めた計画(特定施設サービス計画)に基づいて提供されるため、ケアプランの作成も施設側の計画作成担当者が担います。外部の訪問介護事業所と別に契約する必要はありません。
家族から見たときの実務的な違いはここに出ます。介護の内容を相談する相手も、緊急時に連絡が来る相手も、月々の請求を出す相手も同じ施設です。遠方に住むご家族が、複数の事業所と個別にやりとりする負担を避けられる点を評価されるケースがあります。
費用の考え方:介護保険部分は「要介護度で決まる定額」
介護付きの費用は、大きく3つに分かれます。
- 入居時費用(前払金・敷金など):0円の施設から高額な施設まで幅があります
- 月額の居住費・食費・管理費:施設ごとに設定され、介護保険の対象外です
- 介護サービス費の自己負担分:要介護度ごとの定額(1〜3割負担)。使った介護の量では変わりません
3つ目が住宅型との決定的な違いです。介護量が増えても要介護度が同じなら介護サービス費の基本部分は変わりません。逆に、介護をほとんど使わない月でも同額がかかります。要介護度が高く介護量が多い方ほど相対的に負担が読みやすく、軽度の方には割高に感じられることがある——という構造になっています。施設タイプ別の費用の考え方は老人ホームの費用相場を整理した記事にまとめています。
入居条件
入居対象は施設ごとに定められています。要介護1以上を条件とする施設のほか、自立・要支援の方も受け入れる「混合型」の施設もあります。一方、前述の地域密着型(定員29人以下)は法令上「介護専用型特定施設」=入居者が要介護者等に限られるものとされているため、自立の段階から入ることはできません。
また、看取りへの対応可否は施設によって異なります。同じ「介護付き」でも、夜間の看護職員の配置や協力医療機関との連携体制には差があるため、重度化したあとの生活を想定するなら、この点を個別に確認する必要があります。契約前に確認すべき具体的な項目は老人ホームのトラブル類型を整理した記事で13の類型に分けて解説しています。
住宅型有料老人ホームとは
誰が介護するのか
住宅型では、介護を担当するのは施設の職員ではなく、外部の訪問介護・訪問看護・通所介護などの事業所です。ケアプランを作るのも、施設ではなく居宅介護支援事業所のケアマネジャーです。入居者は「住まいの契約」と「介護サービスの契約」を別々に結ぶ形になります。
この構造には利点があります。すでに信頼しているヘルパーやケアマネジャーがいる場合、住み替えても同じ人に継続して来てもらえる可能性があります。サービスの組み合わせを自分で選べる自由度も、介護付きより高くなります。
注意したい構造:同一法人の事業所が併設されている場合
住宅型の建物内や隣接地に、同じ法人の訪問介護事業所やデイサービスが併設されているケースは珍しくありません。これ自体は制度上認められた形態で、すぐ来てもらえるという実務上の利点もあります。
ただし、介護保険には要介護度ごとの区分支給限度基準額(1か月に保険を使える上限)があり、これを超えて利用したサービスは全額自己負担になります。住宅型では、必要なサービスを積み上げていった結果、費用が想定を超える形になることがあります。「実質的に介護付きと同じように使える」という説明を受けたときこそ、1か月あたりの利用予定回数と自己負担の見込み額を、書面で試算してもらうことをおすすめします。
重度化したときの扱い
住宅型は、対応できる介護の範囲が施設の方針と人員体制によって大きく変わります。医療的ケアや夜間の頻回な対応が必要になった段階で住み替えを相談されることもあれば、外部サービスを増やして住み続けられることもあります。同じ「住宅型」という表示から、この点は読み取れません。
この「住まいの契約と介護の契約が別々」という構造は、サービス付き高齢者向け住宅の一般型とよく似ています。実際、外部サービスの費用を見落として想定を超えたという声はサ高住でも共通しており、サ高住で後悔した理由を整理した記事で挙げているチェックポイントは、住宅型有料老人ホームを検討する際にもほぼそのまま使えます。
介護付きと住宅型の違い(比較表)
| 比較項目 | 介護付き有料老人ホーム | 住宅型有料老人ホーム |
|---|---|---|
| 特定施設の指定 | あり(都道府県・市町村が指定) | なし |
| 介護を行う人 | その施設の職員 | 外部の訪問介護・通所介護等の事業所 |
| ケアプランを作る人 | 施設の計画作成担当者 | 居宅介護支援事業所のケアマネジャー |
| 介護保険の使われ方 | 要介護度ごとの定額(包括) | 利用したサービスごとに算定 |
| 介護量が増えたとき | 要介護度が変わらなければ基本部分は同額 | 利用量に応じて増える。限度額超過分は全額自己負担 |
| 結ぶ契約 | 施設との契約(住まい+介護) | 施設との契約+介護サービス事業所との契約 |
| 入居対象 | 施設により要介護1以上/自立可の混合型もある。地域密着型は要介護者等に限られる | 自立〜要介護まで施設により幅がある |
| 事業所数(当サイト集計) | 全国4,735事業所 | 介護保険の事業所ではないため、この集計では数えられない |
どちらが向いているかは「要介護度の見通し」で決まる
優劣ではなく、条件との噛み合わせの問題です。判断の材料になるのは主に次の点です。
- すでに介護量が多い/今後増える見通しが強い場合:介護付きのほうが月々の見通しを立てやすくなります
- 自立〜軽度で、当面は生活支援が中心の場合:住宅型のほうが使わないサービスの費用を負担せずに済みます
- すでに信頼しているケアマネジャー・ヘルパーがいる場合:住宅型なら関係を継続できる可能性があります
- 家族が遠方で、窓口を一本化したい場合:介護付きのほうが連絡調整の手間が減ります
- お住まいの地域に介護付きが少ない場合:前掲のとおり供給に170倍の地域差があるため、そもそも住宅型やサ高住が現実的な候補になることがあります
健康型有料老人ホームとは
他の2類型と何が違うのか
健康型は、食事の提供や生活支援、健康管理を受けながら自立した生活を送ることを想定した類型です。共用の食堂やアクティビティの設備が充実している施設もあります。
住宅型との違いは、介護が必要になったときの扱いを契約の前提としている点です。住宅型は外部サービスを使って住み続ける道が残りますが、健康型は要介護状態になった時点で契約を終了し、住み替えることを想定した設計になっているのが一般的です。
公的データから件数を出せない、という事実
当サイトが集計できる厚生労働省のオープンデータは、介護保険の指定を受けた事業所の一覧です。健康型は指定を受けていないため、ここには1件も載りません。同じ理由で、住宅型の件数も出せません。
そのため当サイトでは、健康型について「全国に◯件」「他の類型より少ない」といった数字を書きません。有料老人ホーム全体の届出件数を扱う調査は別に存在しますが、当サイトが自ら検証できないため引用も控えています。数字を出せないことを、数字を出せないと書く——それがこのサイトのデータの扱い方です。
「自立の段階から入れる住まい」は健康型だけではない
自立の段階で住み替えを考える場合、候補は健康型だけではありません。自立の方も受け入れる混合型の介護付き、自立向けの住宅型、そしてサービス付き高齢者向け住宅も選択肢に入ります。サ高住は全国8,312住宅が登録されており(国土交通省の登録データ・2026年6月末時点)、供給量では健康型を大きく上回ると考えられます。
特に、将来の介護を見据えて住み替え回数を減らしたい場合は、同じ建物・同じ法人の中で介護付きに移れるかを確認する価値があります。系列内での住み替えが可能なら、住み慣れた環境と人間関係を保ちやすくなります。
パンフレットだけで類型を見分ける3ステップ
ステップ1:重要事項説明書の「類型」欄を見る
有料老人ホームには重要事項説明書の交付が求められており、その冒頭付近に施設の類型が記載されています。「介護付有料老人ホーム(一般型特定施設入居者生活介護)」「住宅型有料老人ホーム」といった表記です。ここが最も確実な一次情報です。
ステップ2:介護保険の事業所番号があるかを見る
介護付きの施設には、特定施設入居者生活介護としての介護保険事業所番号(10桁)が振られています。重要事項説明書やパンフレットにこの番号の記載があれば、指定を受けている施設です。番号があれば、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」で事業所名・所在地・サービス種別を照合できます。
| 記載の例 | 読み取れること |
|---|---|
| 「介護付有料老人ホーム(一般型特定施設入居者生活介護)」 | 介護付き。施設職員が介護を行う |
| 「介護付有料老人ホーム(外部サービス利用型特定施設入居者生活介護)」 | 介護付きだが、実際の介護は委託先が行う。全国7事業所のみ |
| 「地域密着型特定施設入居者生活介護」 | 定員29人以下。原則としてその市町村の住民が対象 |
| 「住宅型有料老人ホーム」 | 指定なし。介護は外部の事業所と個別に契約 |
| 「サービス付き高齢者向け住宅」とだけ書かれている | 有料老人ホームの3類型とは別制度。登録内容の確認が必要 |
ステップ3:費用表の「介護サービス費」の書き方を見る
月額費用の内訳表で、介護サービス費が要介護度別の一覧表になっていれば介護付きです。「利用したサービスに応じて別途」「ケアプランによります」といった注記になっていれば住宅型です。この見分け方は、類型の表記を見落としたときの裏取りに使えます。
有料老人ホーム以外の選択肢と比べる
ここまで見てきたとおり、介護付き有料老人ホームは全国4,735事業所で、地域によっては県内に数えるほどしかありません。「介護付きを探す」と決め打ちすると、条件に合う住まいを見落とすことがあります。有料老人ホームの外側にある選択肢を、目的別に整理しておきます。
| 気になっていること | あわせて検討したい施設タイプ |
|---|---|
| 費用をできるだけ抑えたい/要介護3以上 | 特別養護老人ホーム(公的施設) |
| 入院後のリハビリを経て在宅復帰を目指したい | 介護老人保健施設(老健) |
| 認知症があり、少人数で落ち着いた環境がよい | グループホーム(定員の中央値18人) |
| まだ自立していて、住まいの安心感がほしい | サービス付き高齢者向け住宅(全国8,312住宅) |
それぞれの詳細は次の記事で解説しています。
- 特養とサ高住の違い:公的施設と民間の住まい、費用と入居条件の差
- 老健と特養の違い:入居期間の考え方とリハビリ体制の差
- グループホームの入居条件と費用:認知症の親に向いているとされる理由
- サ高住で後悔した理由:外部サービス型の住まい全般に共通する確認点
- 老人ホームのトラブル類型:契約のどの段階で何が起きるか
費用の制約から考える場合は、施設タイプ別の費用相場と、年金収入だけで入れる施設の探し方もあわせてご覧ください。
まとめ
この記事の要点を整理します。
- 法律上は3類型という区分がない。老人福祉法第29条の上では、どれも同じ「有料老人ホーム」
- 「介護付き」は介護保険法第8条第11項の指定を受けた施設。介護は施設職員が行い、介護サービス費は要介護度ごとの定額
- 「住宅型」は指定なし。介護は外部事業所と個別契約。限度額を超えた分は全額自己負担
- 「健康型」は自立者向けで、介護が必要になったら住み替えが前提。指定外のため公的データでは件数を数えられない
- 介護付きは全国4,735事業所(当サイト集計)。うち94.4%が一般型、5.4%が地域密着型、0.1%が外部サービス利用型
- 定員の中央値は50人。特養70人より小さく、グループホーム18人より大きい
- 供給の地域差は170倍(東京都850・徳島県5)。地域によっては住宅型やサ高住が現実的な候補になる
施設選びで最初にやるべきことは、候補を集めることではなく「介護付きか住宅型か」を確定させることです。ここが決まらないまま資料を並べても、費用の数字が同じ意味を持たないため比較になりません。逆にここさえ決まれば、比較すべき項目は自然に絞られます。
そのうえで、契約前の具体的な確認項目は老人ホームのトラブル類型を整理した記事で13の類型に分けて解説しています。見学の前に一度目を通しておくと、聞き漏らしを減らせます。
よくある質問
介護付きと住宅型は、見た目や施設名で見分けられますか?
見分けられません。「ケアホーム」「介護レジデンス」といった名称は類型を示すものではないためです。確実な方法は、重要事項説明書の類型欄を見ることと、介護保険の事業所番号の記載があるかを見ることの2つです。番号があれば厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」で照合できます。裏取りとしては、月額費用表の介護サービス費が要介護度別の一覧になっていれば介護付き、「利用量に応じて別途」となっていれば住宅型です。
要介護認定を受けていなくても有料老人ホームに入居できますか?
施設によります。介護付きには要介護1以上を条件とする施設と、自立・要支援の方も受け入れる混合型の施設があります。ただし介護保険法第8条第21項にいう地域密着型特定施設(定員29人以下)は、入居者が要介護者等に限られる「介護専用型特定施設」と定義されているため、自立の段階から入ることはできません。住宅型・健康型は自立の段階からの入居を認めている施設が多い傾向です。
認知症の親でも介護付き有料老人ホームに入居できますか?
受け入れている施設は多くあります。ただし、症状の程度(特に行動・心理症状の有無)や夜間の対応の必要性によって、対応できる範囲は施設ごとに異なります。認知症の方を対象とした少人数の住まいとしてはグループホーム(認知症対応型共同生活介護)もあり、当サイトの集計では1事業所あたりの定員の中央値は18人でした。現在の状態を具体的に伝えたうえで、複数の類型を並行して相談されることをおすすめします。
状態が悪くなったら退去を求められることはありますか?
類型と施設の方針によります。介護付きは施設職員が介護を行う体制のため重度化しても住み続けられる施設が多い一方、夜間の看護体制や協力医療機関との連携には差があります。住宅型は外部サービスで対応できる範囲を超えた段階で住み替えを相談されることがあります。健康型は要介護状態になった時点での契約終了を前提としているのが一般的です。いずれの場合も、契約書の解除事由と重要事項説明書の記載を入居前に確認してください。
入居一時金(前払金)はどこまで確認すればよいですか?
老人福祉法第29条第9項は、前払金を一括で受け取る設置者に対し、算定の基礎を書面で明示することと、返還債務に備えた保全措置を講じることを義務づけています。また同条第10項は、入居日から一定の期間を経過する日までの間に契約が解除された場合や入居者が亡くなって終了した場合に、前払金から所定の方法で算定される額を控除した額を返還する契約を締結することを義務づけています。さらに同条第8項では、家賃・敷金・介護等の対価を除く権利金その他の金品の受領が禁止されています。この3点が契約書に反映されているかを確認してください。
介護付き有料老人ホームは全国にどれくらいありますか?
当サイトが厚生労働省「介護サービス情報公表システム」のオープンデータ(2026年8月11日取得)を集計したところ、特定施設入居者生活介護の指定を受けた有料老人ホームは全国4,735事業所でした。内訳は一般型4,470事業所(94.4%)、地域密着型258事業所(5.4%)、外部サービス利用型7事業所(0.1%)です。なお、この数には軽費老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅を母体とする特定施設は含みません(厚労省の区分上、別のサービス種別コードになるため)。
住宅型有料老人ホームや健康型の件数は分かりますか?
当サイトが扱っている公的データからは出せません。集計元である厚生労働省のオープンデータは介護保険の指定を受けた事業所の一覧であり、指定を受けていない住宅型・健康型は掲載されないためです。有料老人ホーム全体の届出件数を扱う調査は別に存在しますが、当サイトで内容を検証できていないため引用は控えています。件数を示す情報に触れたときは、それがどの調査のどの定義によるものかをご確認ください。
住んでいる地域に介護付きが少ない気がします。探し方の問題でしょうか?
探し方ではなく、供給量そのものに大きな地域差があります。当サイトの集計では、介護付き有料老人ホームは47都道府県すべてに存在するものの、最多の東京都850事業所に対し最少の徳島県は5事業所で、その差は170倍でした。上位3都県(東京都・神奈川県・埼玉県)だけで全体の38.5%を占めます。また大阪府(介護付き332・サ高住856)や北海道(介護付き186・サ高住527)のように、サービス付き高齢者向け住宅のほうが多い地域もあります。候補が見つからない場合は、住宅型やサ高住を含めて検討の幅を広げることが現実的です。
介護付きの施設は何人くらいの規模が一般的ですか?
当サイトの集計では、定員が記入されている2,351事業所の中央値は50人(25パーセンタイル33人・75パーセンタイル64人)でした。分布は50〜99人が1,056事業所(44.9%)で最も多く、次いで30〜49人が743事業所(31.6%)、29人以下が370事業所(15.7%)、100人以上が182事業所(7.7%)です。参考として、同じ集計方法での中央値は特別養護老人ホーム(広域型)70人、介護老人保健施設100人、グループホーム18人でした。なお厚労省のCSVでは定員が0または空欄の事業所が4,735件中2,384件あり、これらは集計から除いています。

