要介護1〜5の違いとは?区分ごとの状態像・支給限度額・使えるサービスを比較
要支援と要介護の違い — まずここを押さえる
介護保険の認定区分は、大きく「要支援1・2」と「要介護1〜5」に分かれています。ご家族からよく聞かれるのは、「どちらになると施設に入れるの?」という疑問です。端的にいえば、要介護1以上から介護保険の施設サービス(訪問介護・通所介護・短期入所など)を幅広く利用できるようになります。
要支援は「介護予防」を目的とした区分です。現状では自立した生活ができているものの、将来的に介護が必要になるリスクがある方を対象としています。利用できるサービスは「介護予防サービス」が中心となり、居宅サービスの種類が一部制限されます。
一方、要介護1以上になると「介護給付」が受けられるようになり、訪問介護(ホームヘルプ)や通所介護(デイサービス)、そして短期入所(ショートステイ)など、在宅で受けられるサービスが大幅に拡充します。また、特別養護老人ホーム(特養)への入居申込は原則として要介護3以上が対象です(詳細は特養とサ高住の違いをご参照ください)。
| 区分 | 対象の状態 | 給付の種類 | 施設サービスの利用 |
|---|---|---|---|
| 要支援1・2 | 日常生活は概ね自立。一部に支援が必要 | 介護予防給付 | 原則なし(地域密着型施設の一部は可) |
| 要介護1〜2 | 部分的な介護が必要。日常生活動作に見守りや一部介助を要する | 介護給付 | グループホーム・有料老人ホームなど |
| 要介護3〜5 | 全面的な介護が必要。排泄・入浴・移動などほぼすべてに介助を要する | 介護給付(上位) | 特養・老健・有料老人ホームなど幅広く利用可 |
出典:厚生労働省「介護保険制度の概要」(e-Govポータル掲載)
要介護1〜5それぞれの状態像
要介護度は、「介護の手間(時間)の推計値」をもとに判定されます。具体的には、食事・排泄・入浴・整容・移動といった日常生活動作(ADL)において、どの程度の介助が必要かをもとに区分が決まります。以下に、それぞれの区分の目安となる状態像をご紹介します。
要介護1
日常生活の基本的な動作は概ねできますが、一部の動作に見守りや声がけが必要な状態です。立ち上がりや歩行が不安定になりはじめ、入浴や排泄の一部に介助を要することがあります。認知機能の軽度な低下が見られるケースも多く、物忘れが増えてきたと感じる時期と重なることがあります。
在宅でのサービスを組み合わせながら生活を続けるご家庭が多い区分です。週2〜3回のデイサービスや、週1〜2回のホームヘルプサービスを組み合わせるケースが一般的です。
要介護2
日常生活動作の多くに一部介助が必要な状態です。歩行や立ち上がりに見守りや介助を要し、入浴・排泄においても部分的な介助が必要になってきます。認知機能の低下が進み、外出時に迷子になるなどのリスクが高まることもあります。
在宅での介護負担が増してくる区分でもあり、ご家族から「在宅の限界を感じ始めた」という声が聞かれ始める時期でもあります。在宅介護の限界サインについても合わせてご確認ください。
要介護3
日常生活全般にわたって全面的な介助が必要な状態です。立ち上がり・歩行・排泄・入浴すべてに介助を要し、夜間の対応が必要になるケースも増えます。認知症の症状(徘徊・昼夜逆転など)が顕著になってくる方も多く、在宅での介護が難しくなる段階です。
この区分から特別養護老人ホーム(特養)への申込資格が発生します(要介護3以上が原則)。施設入居を具体的に検討し始めるご家族が増えるタイミングです。
要介護4
日常生活動作のほぼすべてに全面的な介助が必要で、意思疎通が困難になってくることもあります。移動は車いすや介助が必要で、排泄・食事・入浴すべてに介護が必要な状態です。医療的なケアが必要になるケース(経管栄養、在宅酸素など)も増えてきます。
要介護5
介護の必要度が最も高い区分です。ほぼ寝たきり状態で、意思疎通がほとんど困難なこともあります。食事・排泄・入浴・体位交換など生活全般にわたって全面的な介助が必要です。医療機関との連携や、看取りを視野に入れた施設選びが重要になってきます。
出典:厚生労働省「要介護認定の仕組みと手順」
区分ごとの支給限度額(月額)
介護保険サービスを利用できる費用には、区分ごとに「支給限度額」が設定されています。この限度額の範囲内でサービスを利用すると、自己負担割合(1割・2割・3割)で済みます。限度額を超えた部分は全額自己負担となりますのでご注意ください。
支給限度額は「単位」で表記されており、1単位あたりの金額は地域によって異なります(地域区分によって10〜11.40円程度)。以下の表は、令和6年度(2024年度)の区分支給限度基準額と、1単位=10円で計算した場合のおおよその月額上限を示したものです。
| 区分 | 区分支給限度基準額(単位/月) | 月額上限の目安(1単位=10円換算) | 自己負担1割の上限目安 |
|---|---|---|---|
| 要支援1 | 5,032単位 | 約50,320円 | 約5,032円 |
| 要支援2 | 10,531単位 | 約105,310円 | 約10,531円 |
| 要介護1 | 16,765単位 | 約167,650円 | 約16,765円 |
| 要介護2 | 19,705単位 | 約197,050円 | 約19,705円 |
| 要介護3 | 27,048単位 | 約270,480円 | 約27,048円 |
| 要介護4 | 30,938単位 | 約309,380円 | 約30,938円 |
| 要介護5 | 36,217単位 | 約362,170円 | 約36,217円 |
出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」
また、支給限度額を超えてサービスを利用した月でも、一定の上限を超えた部分については「高額介護サービス費」の払い戻し制度が適用される場合があります。所得に応じた負担上限額が設けられており、超過分の払い戻しを受けられます。
さらに、施設に入居した場合の食費・居住費については「負担限度額認定証」を活用することで費用を抑えられる可能性があります。所得・資産の要件がありますので、詳細はお住まいの市区町村にご確認ください。
区分別に使えるサービスの種類
介護保険で使えるサービスは大きく「居宅サービス(在宅系)」と「施設サービス(入所系)」に分かれます。要介護度によって利用できるサービスの種類が異なります。
在宅で受けられる主なサービス(居宅サービス)
| サービス名 | 内容 | 利用できる区分 |
|---|---|---|
| 訪問介護(ホームヘルプ) | ヘルパーが自宅を訪問し、身体介護・生活援助を行う | 要介護1〜5 |
| 通所介護(デイサービス) | 日帰りで介護施設に通い、入浴・食事・リハビリを受ける | 要介護1〜5 |
| 短期入所(ショートステイ) | 数日〜数週間、施設に短期宿泊しながら介護を受ける | 要介護1〜5 |
| 訪問看護 | 看護師が自宅を訪問し、医療的なケアや健康管理を行う | 要支援1〜要介護5 |
| 訪問リハビリ | 理学療法士・作業療法士が自宅でリハビリを実施 | 要支援1〜要介護5 |
| 福祉用具貸与 | 車いす・特殊寝台・歩行補助具などをレンタル | 要介護1〜5(品目により要介護2以上) |
| 住宅改修 | 手すりの設置・段差解消など。上限20万円 | 要支援1〜要介護5 |
施設に入所して受けられるサービス
| 施設の種類 | 主な対象 | 特徴 |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 原則 要介護3以上 | 公的施設で費用が比較的低め。待機者が多い |
| 介護老人保健施設(老健) | 要介護1以上 | 医療・リハビリを中心に提供。在宅復帰が目標 |
| 介護付き有料老人ホーム | 要介護1以上(施設による) | 24時間の介護体制。費用は施設によって幅広い |
| グループホーム | 要支援2〜要介護5 ※認知症の方対象 | 少人数で共同生活。認知症ケアに特化 |
| サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 要支援1〜要介護5(自立も可) | 安否確認・生活相談が標準。介護は外部サービスが基本 |
施設ごとの費用の目安については、老人ホーム入居の費用相場で施設タイプ別に詳しくご説明しています。また、特養とサ高住の違いを費用・条件・サービスの観点から比較した記事(特養とサ高住の違い)も参考にしてください。
区分変更を申請すべきタイミング
要介護認定の有効期間中であっても、心身の状態が大きく変化した場合は「区分変更申請」を行うことができます。認定調査のタイミングと実際の状態にズレが生じている場合、現在の区分では必要なサービスを十分に利用できないことがあります。
区分変更申請を検討すべき主なケース
- 入院・手術後に身体機能が大きく低下した
- 認知症の症状(徘徊・暴言・昼夜逆転など)が急に進んだ
- 転倒・骨折などにより歩行が困難になった
- 在宅でのサービスが支給限度額の上限に近づいてきた
- 主治医から「要介護度が上がっている可能性がある」と言われた
区分変更申請は、通常の更新申請と同様に市区町村の介護保険担当窓口または地域包括支援センターへ申請します。申請後は再度、認定調査と主治医意見書の作成が行われます。結果が出るまでは現在の区分でサービスを継続して利用できますので、必要と感じたら早めに申請することをおすすめします。
認定結果に納得できない場合は「不服申立て」という手続きがあります。認定通知を受けてから60日以内に都道府県の介護保険審査会へ申立てることができます。詳しくは認定結果に納得できない時の不服申立てをご覧ください。
出典:厚生労働省「介護保険制度の概要(令和6年7月)」
まとめ
要介護1〜5の区分は、介護保険サービスの利用において非常に重要な基準となります。この記事でご紹介した内容を簡単に振り返ります。
- 要支援(1・2)は介護予防が中心。施設サービスは原則利用できません
- 要介護1・2は在宅サービスが中心。特養は原則対象外で、有料老人ホームやサ高住が選択肢になります
- 要介護3以上から特別養護老人ホームへの申込資格が生じ、施設の選択肢が広がります
- 支給限度額は要介護度が上がるにつれて高くなります。限度額内のサービス利用は自己負担1〜3割で済みます
- 状態が変化した場合は区分変更申請を検討してください
実際に介護サービスを選ぶ際は、要介護度だけでなく、認知症の有無・医療ケアの必要性・ご家族の介護力・お住まいの地域の状況なども踏まえた総合的な判断が必要です。具体的なケアプランの作成や施設選びについては、ケアマネージャーや地域包括支援センター、各種相談窓口にご相談されることをおすすめします。
費用面については老人ホーム入居の費用相場で施設タイプ別に詳しくまとめています。あわせてご参照ください。
よくある質問
要介護1と要介護2では、実際にどのくらいサービスの内容が変わりますか?
支給限度額が要介護1の約167,650円から要介護2の約197,050円に増えます(1単位10円換算)。これにより、訪問介護やデイサービスの利用回数を増やしやすくなります。また、福祉用具貸与について、要介護1では原則貸与できない用具(特殊寝台・車いすなど)が、要介護2以上になると利用できるようになる場合があります。入居できる施設の種類自体はほぼ変わりませんが、サービスの量と種類の選択肢が広がります。
支給限度額を毎月使い切らないといけないのですか?
いいえ、使い切る必要はありません。支給限度額はあくまで「その月に利用できる上限」を示すものです。必要なサービスを組み合わせて、ご家族の状況に応じた利用が基本です。未使用の限度額は翌月に繰り越すこともできません(月ごとのリセット制)。ケアマネージャーと相談しながら、必要なサービスを過不足なく組み合わせるケアプランを作成することが大切です。
認定調査のときに、本人が「大丈夫」と言って介護の必要性を低く見せてしまう場合はどうすればよいですか?
ご家族からよく聞かれるケースです。認定調査員は本人への聞き取りだけでなく、家族からの情報も参考にできます。調査当日に立ち会えない場合でも、「日常の様子を記録したメモ」や「主治医への情報提供」などを通じて、実態に近い状態を伝えることが重要です。また、主治医の意見書も審査に反映されますので、普段からかかりつけ医に実際の生活の様子を伝えておくことをおすすめします。
要介護度が下がることはありますか?
はい、リハビリや適切なケアによって心身の状態が改善した場合、更新認定や区分変更申請の結果として要介護度が下がることがあります。また、入院中など本来の生活状況とは異なる環境での調査となった場合に、実態より低い区分が出ることも。要介護度が下がると支給限度額も減るため、サービス計画の見直しが必要になります。現在の状態と認定区分にズレを感じた場合は、ケアマネージャーに相談し、区分変更申請を検討してみてください。
要介護度が上がった場合、施設を変わらないといけませんか?
必ずしも変わる必要はありません。現在入居中の施設が新しい要介護度に対応したサービスを提供できる場合は、そのまま継続できます。ただし、施設によっては受け入れ可能な要介護度の上限が設けられている場合もあります。入居前に「どの程度まで対応してもらえるか」を確認しておくことが大切です。詳しくは各施設にお問い合わせください。

