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有料老人ホームとサ高住の違い|根拠法で決まる費用と介護の受け方

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有料老人ホームとサ高住の違い|根拠法で決まる費用と介護の受け方

最終更新:2026年8月12日 カテゴリ:施設タイプ別
この2つを分けているのは、建物の見た目でも料金の高さでもなく、根拠になっている法律が違うという一点です。有料老人ホームは老人福祉法第29条にもとづく届出の制度、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は高齢者住まい法第5条にもとづく登録の制度で、そこから契約で守られる範囲・入居できる人の条件・介護を誰がするのかが構造的に分かれます。しかも両者は排他ではありません。ここでは条文と、当サイトが集計した公的データ(サ高住8,312件・介護付き有料老人ホーム4,735事業所)で、その違いを整理します。

有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅は、根拠法が違う

有料老人ホームは老人福祉法第29条第1項の「届出」、サ高住は高齢者住まい法第5条第1項の「登録」で成り立っています。行政への手続きの形が違うので、契約で義務づけられていることも、入居できる人の条件も別々に決まります。そして両者は二者択一ではありません。サ高住として登録されている建物のなかに、有料老人ホームに該当するものが含まれます。

資料を並べ始めると、多くのご家族が最初につまずくのがこの2つです。パンフレットの写真も、書いてあるサービスの言葉も似ていて、違いが読み取れません。実際、見た目や名称からこの2つを見分けることはできません。

分かれ目は法律の側にあります。まず有料老人ホームは、老人福祉法第29条第1項が定義しています。同項は、有料老人ホームを設置しようとする者に対して、あらかじめ都道府県知事へ届け出ることを義務づけています。許可や認可ではなく、事前の「届出」という形です。

SOURCE 老人福祉法第29条第1項「有料老人ホーム(老人を入居させ、入浴、排せつ若しくは食事の介護、食事の提供又はその他の日常生活上必要な便宜であつて厚生労働省令で定めるもの(以下「介護等」という。)の供与……をする事業を行う施設であつて、老人福祉施設、認知症対応型老人共同生活援助事業を行う住居その他厚生労働省令で定める施設でないものをいう。以下同じ。)を設置しようとする者は、あらかじめ、その施設を設置しようとする地の都道府県知事に、次の各号に掲げる事項を届け出なければならない。」
出典:e-Gov法令検索「老人福祉法」(昭和三十八年法律第百三十三号)第29条(https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000133)/2026年8月12日確認

サ高住は「登録を受けることができる」制度

一方のサ高住は、高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)第5条第1項にもとづく制度です。条文は「都道府県知事の登録を受けることができる」と書いており、届出のような義務ではなく、基準を満たした事業者が受ける登録という組み立てになっています。登録は5年ごとの更新が必要で、更新しなければ期間の経過によって効力を失います。

ここで注目したいのが、登録の対象の書き方です。第5条第1項は対象を「高齢者向けの賃貸住宅又は……有料老人ホーム」としています。つまりサ高住として登録されている建物のなかには、老人福祉法上は有料老人ホームに当たるものが含まれているということです。

SOURCE 高齢者の居住の安定確保に関する法律第5条第1項「高齢者向けの賃貸住宅又は老人福祉法第二十九条第一項に規定する有料老人ホーム(以下単に「有料老人ホーム」という。)であって居住の用に供する専用部分を有するものに高齢者……を入居させ、状況把握サービス……、生活相談サービス……その他の高齢者が日常生活を営むために必要な福祉サービスを提供する事業(以下「サービス付き高齢者向け住宅事業」という。)を行う者は、サービス付き高齢者向け住宅事業に係る賃貸住宅又は有料老人ホーム(以下「サービス付き高齢者向け住宅」という。)を構成する建築物ごとに、都道府県知事の登録を受けることができる。」
同条第2項「前項の登録は、五年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。」
同法第23条(老人福祉法の特例)「第五条第一項の登録を受けている有料老人ホームの設置者(当該有料老人ホームを設置しようとする者を含む。)については、老人福祉法第二十九条第一項から第三項までの規定は、適用しない。」
出典:e-Gov法令検索「高齢者の居住の安定確保に関する法律」(平成十三年法律第二十六号)第5条・第23条(https://laws.e-gov.go.jp/law/413AC0000000026)/2026年8月12日確認

第23条は、サ高住の登録を受けている有料老人ホームの設置者について、老人福祉法第29条第1項から第3項まで(届出・変更届・廃止届)の規定を適用しないと定めています。「有料老人ホームか、サ高住か」という二者択一ではなく、有料老人ホームに当たる建物がサ高住として登録されると、届出の規定が外れる——という関係です。読者の側から見ると、比べるべきは名称ではなく、その建物がどの制度で登録・届出されているかになります。

POINT 見学や資料請求の段階で確認することは、まず1つに絞れます。「この建物はサ高住として登録されていますか。あわせて、有料老人ホームとしての届出はどうなっていますか」——この答えで、次に読むべき書類(サ高住の登録事項か、有料老人ホームの重要事項説明書か)が決まります。どちらの書類も、費用と解約の条件が書かれている場所です。

先に結論:違いは4つに集約できる(早わかり)

結論:この2つは「別の法律にもとづく別の制度」で、二者択一の関係ではありません。暮らしへの影響が大きい違いは、次の4点に集約できます。詳しい対照は比較表にまとめました。
知りたいこと 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 根拠
行政への手続き 事前の届出 登録(5年ごとに更新) 老人福祉法第29条第1項/高齢者住まい法第5条
義務づけられているサービス 介護等の供与を行う施設として届け出る 状況把握・生活相談(介護は含まれない) 高齢者住まい法第7条第1項第5号
入居できる人 条文上の一律の基準は確認できず、施設ごと 60歳以上等+同居する人の要件 同法施行規則第3条各号
介護を誰がするか どちらも「特定施設の指定」があるかどうかで決まる(指定ありは施設・住宅の職員/なしは外部の事業所) 介護保険法第8条第11項

そのうえで、この記事がいちばん伝えたいのは「有料老人ホームか、サ高住か」で悩む必要はあまりないということです。同じ建物が両方の性質を持つことがあり(高齢者住まい法第23条)、費用と介護の受け方を実際に左右するのは制度の名前ではなく特定施設の指定の有無だからです。以降で、公的データと条文からその中身を確認していきます。

【当サイト集計】サ高住8,312件・介護付き有料老人ホーム4,735事業所

公的データから数えられるのは、国土交通省に登録されたサ高住8,312件と、厚生労働省のデータで特定施設の指定を受けた有料老人ホーム(介護付き)4,735事業所です。規模はサ高住が中央値30戸、介護付きが定員中央値50人。金額が分かるのはサ高住だけで、家賃と共益費の代表値は中央値80,700円(n=8,303)でした。

制度の話はここまでです。では実際にどれだけあり、いくらなのか。当サイトでは、厚生労働省の介護サービス情報公表システムのオープンデータと、国土交通省のサービス付き高齢者向け住宅の登録データを取得し、1件ずつ数えました。

数えられるもの・数えられないもの

対象 件数 出どころ
サービス付き高齢者向け住宅(登録住宅) 8,312件 国土交通省の登録データ
介護付き有料老人ホーム(特定施設の指定あり) 4,735事業所 厚生労働省のオープンデータ
住宅型・健康型の有料老人ホーム 数えられない 介護保険の指定を受けていないため公表データに載らない

この2つの数字は足し算できません。特定施設の指定を受けたサ高住は両方のデータに載っており、当サイトの実測では厚生労働省側に「サービス付き高齢者向け住宅を母体とする特定施設」が688事業所ありました。足すと同じ建物を二重に数えることになります。

規模:サ高住は中央値30戸、介護付きは定員中央値50人

区分 1件あたりの代表値(中央値) 25%〜75% 母数
サ高住の住宅戸数 30戸 20戸〜45戸 8,312件
介護付き有料老人ホームの定員 50人 33人〜64人 2,351事業所

サ高住の戸数の分布は、29戸以下が3,803件(45.8%)、30〜49戸が2,791件(33.6%)、50〜99戸が1,598件(19.2%)、100戸以上が120件(1.4%)です。半数近くが30戸に満たない小さな住宅で、定員50人前後が中心の介護付き有料老人ホームとは、建物の作りからして違う傾向が出ています。

費用:金額が分かるのはサ高住だけ

ここが、この2つを「同じ表」で比べにくい最大の理由です。厚生労働省の公表データには利用料金の列がありません。したがって当サイトは、有料老人ホームの月額を公的データから出すことができません。一方、サ高住の登録データには家賃・共益費・食事の対価が届け出られています。

サ高住の月額(代表値) 25パーセンタイル 中央値 75パーセンタイル 母数
家賃+共益費 66,000円 80,700円 105,000円 8,303件
家賃+共益費+食事の対価 113,600円 131,000円 159,969円 7,998件

この金額には介護サービス費・水道光熱費・状況把握や生活相談の対価は含まれません(2段目は食事の対価だけを加えたものです)。参考までに、状況把握・生活相談の対価は中央値19,800円(数値で記載のある6,864件)でした。地域差も大きく、都道府県別の家賃+共益費の中央値は東京都130,350円(n=421)から青森県46,000円(n=105)まで開いています。

入居時のお金:サ高住で前払金の方式は2.6%

入居時の方式 件数 割合
前払金なし 8,095件 97.4%
前払金あり 217件 2.6%

母数は8,312件です。敷金の月数が記載されている5,982件では中央値2.0か月でした。「高額な入居一時金」というイメージは、少なくともサ高住の登録データの上では例外的な方式だと言えます。ただし、有料老人ホーム側に前払金がどれくらいあるかは、厚生労働省の公表データに料金の情報が無いため当サイトでは数えられません。

サ高住の10.3%は、介護付きと同じ仕組みで介護を受ける住宅

サ高住の区分 件数 家賃+共益費の中央値 金額の母数
特定施設の指定あり 857件(10.3%) 108,100円 856件
特定施設の指定なし 7,455件(89.7%) 79,000円 7,447件

登録データで特定施設の指定を受けていると届け出ているサ高住は857件、全体の10.3%でした。この1割の住宅では、介護付き有料老人ホームと同じ「特定施設入居者生活介護」の枠組みで介護が提供されます。家賃と共益費の水準も、指定のある住宅のほうが約2万9千円高い位置にあります。「サ高住だから介護は外部」という説明は、この1割には当てはまりません。

SOURCE 施設数・定員は、厚生労働省「介護サービス情報公表システム」オープンデータ(2026年6月末時点)を当サイトが2026年8月11日に取得し、サービス種別コード331・361・335の事業所を集計したものです(合計4,735事業所)。軽費老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅を母体とする特定施設は別のサービス種別コードのため、この4,735事業所には含めていません。定員は0または空欄の事業所2,384件を未記入として集計から除き、記入のある2,351事業所で算出しています。
サ高住の件数・戸数・金額は、「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」(国土交通省)の登録データ(2026年6月末時点)を当サイトが2026年8月11日に取得して集計したものです(登録8,312件)。月額の代表値は「家賃の最低額と最高額の単純平均+共益費の最低額と最高額の単純平均」で住宅ごとに1つの数字にまとめています。家賃の記載額が下限10,000円未満の7件と上限1,000,000円超の2件は、桁誤り等の疑いがあるため金額の集計から除外し、母数は8,303件です。食事の対価は、この家賃の集計から除いた9件に加えて、食事の対価の記載がない297件と0円以下の8件を除いた7,998件で集計しています(母集団を家賃の集計と揃えるためです)。
※両者は根拠となる制度も届出先も異なるデータです。実体が重なる施設もあるため、足し合わせて「高齢者向け住まいの総数」とすることはできません
出典:厚生労働省「介護サービス情報公表システム」オープンデータ(CC BY 4.0)/サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム(国土交通省)登録データ(二次利用の条件を一次情報で確認中のため、ライセンス名は記載していません)
CAUTION ここで数えている有料老人ホームは「介護付き」=特定施設の指定を受けたものだけです。住宅型・健康型は介護保険の事業所ではないため公表データに載らず、当サイトのデータからは全国件数を出すことができません。同じ理由で、有料老人ホームの月額・前払金の金額も当サイトでは出せません(厚生労働省の公表データに料金の列が無いため)。したがって本記事は「有料老人ホームとサ高住のどちらが安いか」を金額で断定していません。また、サ高住の金額は登録時の届出値であり、実際の契約額・請求額を保証するものではありません。「有料老人ホームの相場は月◯万円」という数字に触れたときは、それがどの調査のどの定義によるものかをご確認ください。

ここまでが数字で言えることです。次は、契約したあとに何が守られるのか——制度がそれぞれ何を義務づけているのかを見ていきます。金額の見通しを具体的に立てたい段階であれば、条件に合う住まいの資料を並行して集めておくと、この後の確認項目が具体的になります。

契約で守られる範囲は、どこがどう違うのか

お金まわりのルールは、実はよく似ています。権利金の受領禁止・前払金の保全措置・入居後3か月以内に終了した場合の返還の算式は、どちらの制度にも同じ趣旨の規定があります。違いが出るのは、サ高住の登録基準に「入院などを理由に居室を変更したり解約したりできない」という条件が明記されている点と、敷金の上限規定の有無です。

「有料老人ホームは一時金があるから慎重に、サ高住は賃貸だから気楽に」と語られることがありますが、条文を並べるとその整理は正確ではありません。前払金を受け取るときのルールは、どちらの制度にもあります。

お金のルールは、ほぼ同じ趣旨の規定が両方にある

ルール 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅
権利金その他の金品の受領 老人福祉法第29条第8項で禁止 登録の基準(法第7条第1項第6号ハ)として、受領しない契約であること
前払金の算定の基礎の明示 同条第9項(書面で明示) 同号ニ(契約に明示)
前払金の保全措置 同条第9項 法第7条第1項第8号
入居後3か月以内に終了した場合の返還 同条第10項+施行規則第21条(家賃等の月額を30で除した額×入居日数を控除) 法第7条第1項第6号ホ+省令第12条(同じ算式)
敷金の上限 施行規則第20条の9で家賃の6月分が上限 当サイトが確認した範囲の条文には、上限を定めた規定が見当たりません
入院などを理由とする居室変更・解約 この形の規定は第29条には見当たりません 法第7条第1項第6号ヘ(できないものであること)
SOURCE 老人福祉法第29条第8項「有料老人ホームの設置者は、家賃、敷金及び介護等その他の日常生活上必要な便宜の供与の対価として受領する費用を除くほか、権利金その他の金品を受領してはならない。」/同条第9項「有料老人ホームの設置者のうち、終身にわたつて受領すべき家賃その他厚生労働省令で定めるものの全部又は一部を前払金として一括して受領するものは、当該前払金の算定の基礎を書面で明示し、かつ、当該前払金について返還債務を負うこととなる場合に備えて厚生労働省令で定めるところにより必要な保全措置を講じなければならない。」
老人福祉法施行規則第20条の9「……敷金(家賃の六月分に相当する額を上限とする。)として収受するものを除く……」/同規則第21条第1項第1号「入居者の入居後、三月が経過するまでの間に契約が解除され、又は入居者の死亡により終了した場合にあつては、三月」
高齢者住まい法第7条第1項第6号ハ「サービス付き高齢者向け住宅事業を行う者が、敷金並びに家賃等及び前条第一項第十二号の前払金(以下この項において「家賃等の前払金」という。)を除くほか、権利金その他の金銭を受領しない契約であること。」/同号ヘ「サービス付き高齢者向け住宅事業を行う者が、入居者の病院への入院その他の国土交通省令・厚生労働省令で定める理由により居住部分を変更し、又はその契約を解約することができないものであること。」/同法施行規則第12条第2項第1号「……家賃等……の月額を三十で除した額に、入居の日から起算して契約が解除され、又は入居者の死亡により終了した日までの日数を乗じる方法」
出典:e-Gov法令検索「老人福祉法」第29条(https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000133)/「老人福祉法施行規則」第20条の9・第21条(https://laws.e-gov.go.jp/law/338M50000100028)/「高齢者の居住の安定確保に関する法律」第7条(https://laws.e-gov.go.jp/law/413AC0000000026)/「国土交通省・厚生労働省関係高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則」第12条(https://laws.e-gov.go.jp/law/423M60000900002)/いずれも2026年8月12日確認
CAUTION これらの条文が定めているのは設置者・登録事業者の義務であって、個々の施設が守っている保証ではありません。「法律で決まっているから安心」ではなく、その内容が目の前の契約書と重要事項の書面に反映されているかを1項目ずつ突き合わせてください。特に、前払金の算定の基礎(何年分の家賃を前払いした計算なのか)と、途中で終了したときの返還額の算定方法は、書面で示されているかを確認する対象です。

行き違いが起きやすい場面を段階ごとに知っておきたい場合は、老人ホームのトラブル類型をまとめた記事もあわせてご覧ください。情報収集・契約・入居中・退去という4つの段階に分けて、それぞれ何を確認すればよいかを整理しています。

介護は誰がするのか——分かれ目は「特定施設の指定」

サ高住の登録基準が義務づけているのは「状況把握サービス」と「生活相談サービス」であって、介護ではありません。介護を住まいの職員が行うかどうかを決めているのは、有料老人ホームでもサ高住でも同じ「特定施設入居者生活介護の指定」です。制度の名前ではなく、この指定の有無で実務が変わります。

「サ高住はサービス付きなのだから介護もしてもらえる」と受け取られがちですが、登録の基準が求めているサービスの中身は決まっています。高齢者住まい法第7条第1項第5号が挙げているのは状況把握サービスと生活相談サービスで、介護は含まれていません。

省令はその水準まで定めています。介護福祉士・看護師・ケアマネジャーなどの職員が「原則として、夜間を除き」建物または隣接・近接する建物に常駐し、状況把握サービスを毎日1回以上提供すること。常駐していない時間帯は、各居室に通報装置を置いて対応すること——これが基準です。夜間に人がいることまでは、登録の基準としては求められていません

SOURCE 高齢者住まい法第7条第1項第5号「入居者に国土交通省令・厚生労働省令で定める基準に適合する状況把握サービス及び生活相談サービスを提供するものであること。」
同法施行規則第11条第1項第1号「次のイ及びロに掲げる者のいずれかが、原則として、夜間を除き、サービス付き高齢者向け住宅の敷地又は当該敷地に隣接し、若しくは近接する土地に存する建物に常駐し、状況把握サービス及び生活相談サービスを提供すること。」/同項第2号「前号の状況把握サービスを、各居住部分への訪問その他の適切な方法により、毎日一回以上、提供すること。」/同項第4号「少なくとも第一号イ及びロに掲げる者のいずれかが……常駐していない時間においては、各居住部分に、入居者の心身の状況に関し必要に応じて通報する装置を設置して状況把握サービスを提供すること。」
出典:e-Gov法令検索「高齢者の居住の安定確保に関する法律」第7条(https://laws.e-gov.go.jp/law/413AC0000000026)/「国土交通省・厚生労働省関係高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則」第11条(https://laws.e-gov.go.jp/law/423M60000900002)/2026年8月12日確認

4つの組み合わせで整理する

では介護はどうなるのか。答えは制度の名前ではなく、介護保険法の「特定施設入居者生活介護」の指定を受けているかどうかで決まります。有料老人ホームにもサ高住にも、指定を受けたものと受けていないものの両方があります。

住まいの区分 介護を行う人 介護費用の決まり方
介護付き有料老人ホーム(指定あり) その施設の職員 要介護度ごとの定額
特定施設の指定を受けたサ高住 その住宅の職員 要介護度ごとの定額
住宅型有料老人ホーム(指定なし) 外部の訪問介護・通所介護等 利用したサービスごとに算定
一般型のサ高住(指定なし) 外部の訪問介護・通所介護等 利用したサービスごとに算定

表の1段目と2段目、3段目と4段目は、介護の受け方という点では同じ側にいます。「有料老人ホームか、サ高住か」という縦の線ではなく、「指定があるか、ないか」という横の線のほうが、暮らしへの影響は大きいということです。指定のある側は要介護度が上がっても介護費用の基本部分が変わらず、指定のない側は利用量に応じて増え、区分支給限度基準額を超えた分は全額自己負担になります。

指定を受けた有料老人ホームの類型(介護付き・住宅型・健康型)の分け方そのものは、有料老人ホームの3類型を公的データで整理した記事で詳しく解説しています。

POINT 指定のない住まいを検討するときは、「介護サービスあり」という表示だけでは判断材料になりません。書面を見ながら確かめたいのは「今の要介護度で、1か月にどのサービスを何回使う前提の見積もりになっていますか」という1点です。外部の事業所を使う形では、その回数がそのまま自己負担に跳ね返り、区分支給限度基準額を超えた分は全額自己負担になります。回数と金額を書いた試算を出してもらえるかどうかが、契約前に確かめられる分かりやすい目安になります。

入居できる人の条件——サ高住は「60歳以上等」が登録の基準

サ高住には、入居できる人の範囲が省令で決まっています。60歳以上の方、または要介護・要支援の認定を受けている60歳未満の方です。ただし年齢だけで決まるわけではなく、同居する人についての要件(省令第3条各号)も同時に満たす必要があります。有料老人ホームについては、当サイトが確認した範囲の条文に一律の年齢基準がなく、施設ごとに定められます。居室の広さも、サ高住だけが省令で下限を持っています。

「親はまだ元気だが、そろそろ住まいを変えたい」という段階で効いてくるのが、この条件の違いです。

サ高住の入居要件は2段構えになっています。ひとつは年齢等の要件(60歳以上、または要介護・要支援の認定を受けた60歳未満)。もうひとつが同居する人についての要件で、省令第3条は「同居する者がない者」(第1号)か、同居するのが配偶者・60歳以上の親族・要介護等の認定を受けた60歳未満の親族などである場合(第2号)のいずれかに当たることを求めています。ご夫婦や、親と高齢のきょうだいで入る場合はここに当たるかを確認する必要があります。第2号には、病気などの特別の事情により同居させることが必要だと都道府県知事が認めた方も含まれます。

SOURCE 国土交通省・厚生労働省関係高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則第3条「法第五条第一項の国土交通省令・厚生労働省令で定める年齢その他の要件は、六十歳以上の者又は介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第十九条第一項に規定する要介護認定……若しくは同条第二項に規定する要支援認定……を受けている六十歳未満の者……であって、次に掲げる要件のいずれかに該当する者であることとする。」
同条第一号「同居する者がない者であること。」/同条第二号「同居する者が配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上夫婦と同様の関係にあるものを含む。以下この号において同じ。)、六十歳以上の親族(配偶者を除く。以下この号において同じ。)、要介護認定若しくは要支援認定を受けている六十歳未満の親族又は入居者が病気にかかっていることその他特別の事情により当該入居者と同居させることが必要であると都道府県知事が認める者であること。」
同規則第8条(規模の基準)「法第七条第一項第一号の国土交通省令・厚生労働省令で定める規模は、各居住部分が床面積二十五平方メートル(居間、食堂、台所その他の居住の用に供する部分が高齢者が共同して利用するため十分な面積を有する場合にあっては、十八平方メートル)とする。」
出典:e-Gov法令検索「国土交通省・厚生労働省関係高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則」(平成二十三年厚生労働省・国土交通省令第二号)第3条・第8条(https://laws.e-gov.go.jp/law/423M60000900002)/2026年8月12日確認

一方の有料老人ホームは、老人福祉法第29条第1項が「老人を入居させ」と書いているだけで、当サイトが確認した範囲の条文には、入居できる年齢の一律の基準も、居室の広さの下限もありません。そのぶん自立の方から要介護の方まで幅があり、条件は施設ごとに設定されます。

CAUTION ここで書いているのは制度が定める入り口の条件であって、実際に入居できるかどうかではありません。入居の可否は、住まいの空き状況・受け入れ体制・ご本人の状態によって決まります。認知症の症状や医療的ケアへの対応範囲は、制度の区分ではなく個々の住まいごとに異なります。判断に迷う段階では、地域包括支援センターや担当のケアマネジャー、市区町村の窓口にご相談ください。

どちらが向いているかは条件で決まる(比較表)

優劣ではなく、噛み合わせの問題です。制度・契約・介護・費用の4つの軸で並べたうえで、「介護がどれくらい必要か」「契約で何を守りたいか」「金額を事前にどこまで確かめたいか」の3つから考えると、条件は絞り込めます。
比較する項目 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅
根拠となる法律 老人福祉法第29条 高齢者住まい法第5条
行政への手続き 都道府県知事への事前の届出 都道府県知事の登録(5年ごとに更新)
入居できる人の基準 条文上の一律の基準は確認できず、施設ごと 60歳以上の方、または要介護・要支援認定を受けた60歳未満の方。あわせて同居する人についての要件がある(省令第3条各号)
居室の広さの下限 条文上の一律の基準は確認できず 25平方メートル(共用部分が十分な場合は18平方メートル・省令第8条)
義務づけられているサービス 介護等の供与を行う施設として届け出る 状況把握サービスと生活相談サービス(原則として夜間を除き常駐・毎日1回以上の状況把握)
介護を行う人 特定施設の指定があれば施設職員、なければ外部の事業所 特定施設の指定があれば住宅の職員、なければ外部の事業所
当サイトが数えられた件数 介護付き(指定あり)4,735事業所。住宅型・健康型は数えられない 登録8,312件。うち指定あり857件(10.3%)
1件あたりの規模(中央値) 定員50人(n=2,351事業所) 30戸(n=8,312件)
公的データで月額が分かるか 分からない(公表データに料金の列が無い) 分かる(家賃+共益費の中央値80,700円・n=8,303件)
入居時の前払金 受け取る施設がある(件数・金額は数えられない) 前払金ありは217件・2.6%(母数8,312件)

3つの問いで絞り込む

  • 介護がどれくらい必要か:すでに介護量が多い、または増える見通しが強いなら、制度の名前ではなく特定施設の指定があるかどうかを先に確認します。指定のある側は要介護度が同じなら介護費用の基本部分が変わりません
  • 契約で何を守りたいか:入院したことを理由に居室を変えられたり解約されたりしないことを重視するなら、その条件が登録の基準に明記されているサ高住は確認がしやすくなります。前払金を払う場合の保全措置と返還の算式は、どちらの制度にも規定があります
  • 金額を事前にどこまで確かめたいか:サ高住は家賃・共益費・食事の対価が登録データとして公開されており、地域の水準と比べやすい形になっています。有料老人ホームは公的データに料金が無いため、施設ごとの書面で確認することになります
  • 広さと居住環境:省令の下限があるサ高住に対し、有料老人ホームは条文上の一律の基準が確認できません。居室の面積は、どちらであっても書面で個別に確認する項目です
CAUTION 「サ高住のほうが安い」「有料老人ホームのほうが手厚い」という一般化は、いずれも当サイトのデータからは支持できません。金額を比べられるのはサ高住だけで、有料老人ホーム側の月額は公的データに存在しないためです。また同じサ高住でも、特定施設の指定がある住宅(家賃+共益費の中央値108,100円・n=856)と指定のない住宅(同79,000円・n=7,447)では水準が違います。比べるべきは制度の名前ではなく、その住まいの書面に書かれた人員体制と、想定される要介護度での月額の試算です。

近い制度の記事と、費用から考えるとき

この記事は「有料老人ホーム全体とサ高住の制度上の違い」を扱っています。公的施設との比較、サ高住に住んでから出てくる困りごと、有料老人ホームの3類型の見分け方は、それぞれ別の記事にまとめています。

比較の相手が変わると、見るべき項目も変わります。目的別に整理しておきます。

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まとめ

2つを分けているのは根拠法です。有料老人ホームは老人福祉法第29条の届出、サ高住は高齢者住まい法第5条の登録。ただし排他ではなく、サ高住として登録された有料老人ホームには届出の規定が適用されません。暮らしへの影響が大きいのは、制度の名前より「特定施設の指定があるか」です。

この記事の要点を整理します。

  • 根拠法が違う。有料老人ホーム=老人福祉法第29条第1項の届出、サ高住=高齢者住まい法第5条第1項の登録(5年ごとの更新)
  • 二者択一ではない。高齢者住まい法第23条により、登録を受けている有料老人ホームには老人福祉法第29条第1項から第3項までが適用されない
  • お金のルールは似ている。権利金の受領禁止・前払金の保全措置・入居後3か月以内の返還の算式は、どちらにも同趣旨の規定がある
  • 違いが出るのは登録基準の細部。サ高住は入居者の年齢(60歳以上等)と同居する人の要件・居室25平方メートル・状況把握と生活相談の提供・入院等を理由とする解約の禁止が基準に入っている
  • 介護の分かれ目は特定施設の指定。当サイト集計で、介護付き有料老人ホームは4,735事業所、指定を受けたサ高住は857件(登録8,312件の10.3%)
  • 規模はサ高住が中央値30戸、介護付きが定員中央値50人(母数はそれぞれ8,312件・2,351事業所)
  • 金額が分かるのはサ高住だけ。家賃+共益費の中央値80,700円(n=8,303)、食事の対価を足すと131,000円(n=7,998)。介護サービス費・水道光熱費・生活相談の対価は含まれない
  • 前払金の方式はサ高住では2.6%(217件)。有料老人ホーム側の件数・金額は公的データからは数えられない

最初にやるべきことは、候補を集めることではなく「その住まいは特定施設の指定を受けているか」を確定させることです。指定の有無が分からないまま資料を並べると、月額に含まれるものが住まいごとに違うため、数字を横に置いても比べたことになりません。先にここを押さえておけば、次に読むべき書面(サ高住の登録事項か、有料老人ホームの重要事項説明書か)と、窓口で聞くべきことが決まります。

当サイトは、介護施設の運営や介護サービスの提供を行っていません。専門職による監修も受けていません。そのかわり、厚生労働省・国土交通省が公開しているデータを自分たちで集計し、法律の条文を原文で確認したうえで、数字と根拠のあることだけを書いています。個別のご事情の判断は、地域包括支援センター・ケアマネジャー・市区町村の窓口にご相談ください。

よくある質問

有料老人ホームとサ高住は、どちらかを選ぶという関係ですか?

二者択一の関係ではありません。高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)第5条第1項は、サービス付き高齢者向け住宅事業の対象を「高齢者向けの賃貸住宅又は老人福祉法第二十九条第一項に規定する有料老人ホーム」と定めており、有料老人ホームに当たる建物がサ高住として登録されることを想定しています。同法第23条は、登録を受けている有料老人ホームの設置者について、老人福祉法第29条第1項から第3項までの規定を適用しないと定めています。同じ建物が両方の性質を持つことがあるため、確認すべきは名称ではなく、その建物がどの制度で登録・届出されているかです。

サ高住は夜間もスタッフが常駐していますか?

登録の基準は、夜間の常駐までは求めていません。国土交通省・厚生労働省関係高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則第11条第1項第1号は、状況把握サービスと生活相談サービスを提供する者が「原則として、夜間を除き」建物または隣接・近接する建物に常駐することを基準としています。同項第2号は状況把握サービスを毎日1回以上提供すること、同項第4号は常駐していない時間帯に各居室へ通報する装置を設置することを求めています。夜間に人がいるかどうかは住宅ごとに異なるため、登録事項と契約前の書面で個別にご確認ください。

入居できる年齢の条件は違いますか?

サ高住には省令の基準があります。国土交通省・厚生労働省関係高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則第3条は、入居できる方を「六十歳以上の者又は介護保険法第十九条第一項に規定する要介護認定若しくは同条第二項に規定する要支援認定を受けている六十歳未満の者」等と定めています。ただし年齢だけでは決まりません。同条各号は同居する人についての要件も定めており、単身であること(第1号)か、同居するのが配偶者・60歳以上の親族・要介護等の認定を受けた60歳未満の親族などであること(第2号)のいずれかに当たる必要があります。一方、有料老人ホームについては、老人福祉法第29条第1項が「老人を入居させ」と書いているだけで、当サイトが確認した範囲の条文には一律の年齢基準がありません。実際の入居条件は施設ごとに定められるため、書面での確認が必要です。

前払金(入居一時金)は、どちらにもあるのですか?

制度としてはどちらにもありますが、サ高住では少数です。当サイトが国土交通省の登録データ8,312件を2026年8月11日に取得して集計したところ、前払金の方式をとる住宅は217件(2.6%)で、残る8,095件は前払金なしでした。前払金を受け取る場合の扱いは両制度で似ており、老人福祉法第29条第9項と高齢者住まい法第7条第1項第8号がいずれも保全措置を求めています。入居後3か月以内に契約が終了した場合の返還額の算定も、それぞれの省令で家賃等の月額を30で除した額に入居日数を乗じる方法と定められています。

サ高住のほうが費用は安いのですか?

同じ物差しでは比べられません。当サイトが国土交通省の登録データを集計したところ、サ高住の家賃と共益費の代表値は中央値80,700円(n=8,303件・2026年8月11日取得)、食事の対価を加えると中央値131,000円(n=7,998件)でした。この金額に介護サービス費・水道光熱費・状況把握や生活相談の対価は含まれません。一方、有料老人ホームの月額は厚生労働省の公表データに料金の列がないため、当サイトでは金額を出せません。したがって、どちらが安いかを当サイトのデータで断定することはできません。

サ高住でも、介護付きと同じ形で介護を受けられますか?

一部の住宅では受けられます。当サイトの集計では、登録されているサ高住8,312件のうち、特定施設入居者生活介護などの指定を受けていると届け出ている住宅は857件(10.3%)でした。指定を受けた住宅では住宅の職員が計画に基づいて介護を行い、介護サービス費は要介護度ごとの定額になります。指定のない住宅では、外部の訪問介護や通所介護と個別に契約して利用します。なお家賃と共益費の中央値は、指定のある住宅が108,100円(n=856件)、指定のない住宅が79,000円(n=7,447件)でした。

サ高住と有料老人ホームでは、どちらが数が多いのですか?

足し合わせたり単純に多い少ないを比べたりできる数字ではありません。当サイトの集計では、国土交通省に登録されているサ高住は8,312件、厚生労働省のデータで特定施設の指定を受けた有料老人ホーム(介護付き)は4,735事業所でした(いずれも2026年8月11日取得)。指定を受けていない住宅型・健康型の有料老人ホームは介護保険の事業所ではないため、この公表データには載りません。また両者は制度も届出先も異なり、実体が重なる施設もあるため、2つの数字を足して地域の施設総数とすることはできません。

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